本編
私には幼馴染がいる。
家はお隣さん同士、ってわけじゃなく結構、離れてる。
でも、きっとお隣さん以上にその子の家に行っている。
その子の家に行くようになったのは、幼稚園の帰り道に公園で見かけたのがきっかけ。
一緒に遊ぼうって言われて、私たちはすぐに仲良くなった。
それからは毎日のようにその子の家に遊びに行った。
はっきり言って、その子のことは、その子の親より知ってると思う。
だって、ずっとその子を見てきたんだから。
って、ちょっと惚気ちゃったかな。
考えてみたら、彼と出会ってからもう10年以上経ってるのか。
そう思うと、長いような短いような。
彼とは小学校、中学校と同じクラスにはなれなかった。
だから学校じゃほとんど会えなかった。
まあ、その分、家に行ってたんだけどね。
そして私たちは今年からついに高校生。
さらに念願の同じクラス。
高校生活は楽しくなりそう。
なんてことを考えてたら彼が私のところにやってきて、こう言った。
「初めまして」
だって。
もう照れちゃって。
終わり。
■解説
語り部はストーカー。
家に行っているというのは、忍び込んでいるということである。