本編
タクヤとはもう10年以上の付き合いだ。
小学校の頃からずっとつるんでいる。
趣味が似てるから、一緒にいると楽しい。
ただ、そのせいか結構、悪ノリしてしまうことがある。
はしゃぎすぎて、怒られたことも多い。
だからといって、つるむのをやめようとは思ない。
去年くらいからだろうか。
タクヤが心霊系にハマって、俺もつられるようにハマっていった。
休みになれば、心霊スポットを回るというのも、恒例となっている。
最初は怖い雰囲気にビクビクしていたけど、何か所も行っていると段々と慣れてしまう。
だから、最近は結構、悪ノリして、心霊スポットの建物にイタズラ書きや、幽霊が怒りそうなことをして騒いでいた。
俺もタクヤもオカルトは好きだが、幽霊を信じているわけじゃない。
だから、罰当たりなことも平気でできたんだと思う。
今考えれば、なんであんな馬鹿なことをしたのか、本当に謎だ。
罰があたるようなことをしても、何のメリットもないのに。
そんな馬鹿なことを続けていたせいか、俺らはどこかで呪いを拾ってきたみたいだ。
身の回りで不可解なことが起こるようになった。
ラップ音や嫌な気配、ポルターガイスト現象など、実に様々な怪奇現象が起こる。
タクヤとふたりでいるときは怖くなくても、ひとりになると急に恐怖が襲ってくる。
俺はお守りとか盛塩とか、とにかく除霊になるようなことを思いつく限りやった。
でも、その効果は何もない。
一向に治まる気配はないのだ。
もう限界だと思った時だった。
携帯に電話がかかってくる。
それはタクヤからだった。
電話を取ろうとした瞬間、いきなりインターフォンが鳴った。
タイミングがタイミングだけに凄くビビった。
誰だと思い、ドアのスコープから覗いてみるとタクヤだった。
なんだと思い、ドアを開ける。
「有名な霊能力者に予約がとれたからさ、一緒に除霊に行こうと思って。電話しようと思ったけど、家に行った方が早いなって思ってさ」
どうやらタクヤもずっと怖かったらしい。
俺の手前、無理してたようだ。
俺もずっとビビってたと言ったら、タクヤが噴き出した。
俺とタクヤは爆笑した。
笑うなんて、本当に久しぶりだ。
俺はすぐに用意して、タクヤと一緒に除霊をしてもらいに出かけた。
終わり。
■解説
タクヤは「家に行った方が早い」と言っている。
つまりは電話はしていないということになる。
では、直前に来ていた、タクヤからの電話は一体なんだったのだろうか。