本編
掲示板の相談板にあるスレが立てられた。
その内容は以下のものだった。
相談者は長年、夫にＤＶを受けていた。
ＤＶと言っても夫の機嫌が悪いときに頭を叩かれるとか足を蹴られるとか、そういう軽い暴力なのだという。
それも夫の機嫌が悪いときに自分がバカなことを言ってしまったからなので、自分にも悪いところがあるという話だ。
夫は機嫌の悪いとき以外はいい夫で、買い物とかゴミ出しとか家事を手伝ってくれると話す相談者。
そして、夫は浮気もしていないし、ギャンブルもしていないらしい。
その夫が結婚記念日に今までのことを謝ってきたので許すべきかどうかというものだ。
回答者は許すなというものもあれば、許してあげた方がいいというものもあった。
許すなと言っている人に対して、相談者が理由を聞く。
すると、謝ってきたとしても一時的なもので、そういう奴はまたＤＶをするというものだった。
それで、相談者は夫が心を入れ替えて、二度とＤＶをしないという場合はどうかと返す。
それなら許してあげてもいいけど、どうせ無理だとまた返ってきた。
そこで、相談者はまたＤＶをしたら、そのときは別れるというのはどうかと答える。
回答者たちはそれならいいんじゃないかと賛同した。
相談者はお礼を言って、スレを去っていった。
次の日。
こんなニュースが流れた。
30代の女性が夫を殺したという事件が起こった。
夫は長年ＤＶをしていたのだという。
その夫がヘラヘラとして謝ってきたことで、カッとなってやってしまったと供述している。
そして、その日は結婚記念日だったのだという。
終わり。
■解説
相談板でスレを立てたのは夫の方。
夫は妻に謝れば許してくれるか迷っていて、相談していた。
だが、妻は思った以上に怒りを蓄積していたため、謝れば許してもらえると思っている夫に対して我慢の限界がきたというわけである。
