仮設トイレ

意味が分かると怖い話

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本編

私の家の近くには大きな公園がある。
昼間は人がにぎわっているけど、夜は本当に人がいない。

公園にはほとんど街灯もないし、人も通らないし、大きいので大声を出しても気付かれない。
なので、近所の人は、夜はこの公園を通る人はほとんどいない。

それでも全くいないわけじゃない。
カップルや肝試しをする学生、この公園を通れば家までの近道になる人なんかは夜でも通っている。

私も、バイト帰りには、なるべく通らないようにはしているけど、遅くなって疲れているときはついついこの公園を通ってしまう。

そんな中、公園で殺人事件が起こった。

現場は公園内の公衆トイレの個室だ。

密室になるし、無防備な状態になるので、そこを狙われたらしい。
トイレ内は血が飛び散っていたという噂があり、そのせいで公衆トイレは立ち入り禁止になったみたいだ。

私も通らないようにしていたけど、今日は残業でかなり遅くなってしまった。

明日も学校が早いので、すぐに帰りたい。
だから、怖いけど、公園を通るしかない。

速足で公園内を歩いていたけど、こんなときに限ってトイレに行きたくなってきた。
警戒すれば大丈夫だろうと思って、公衆トイレに向かう。

だけど、公衆トイレは封鎖されていた。

そうだった。どうしよう。
もう我慢ができない。

そう思っていたら、木の陰の目立たないところに仮設トイレが見えた。

よかった。

ハリボテの、本当に簡易的なトイレだけど、今はそんなことを言ってられない。
私は速足で仮設トイレに向かい、用を足した。

終わり。

■解説

仮説トイレを目立たないところに作るのはおかしい。
これは殺人犯が、新たな獲物をおびき寄せるために作ったものかもしれない。