本編
Tとは小学校の時からの友達で、親友だ。
小中高とずっと同じ学校に通っている。
部活も入っていないので、放課後はいつもTと遊ぶことが多い。
あるとき、Tがこんな話をした。
「お葬式とかに使う数珠って、自分で買っちゃダメなんだってさ」
「なんで?」
「近いうちに葬式があるって連想させるからだって」
「縁起が悪いってこと?」
「そうそう」
「ふーん」
迷信だとしても、聞いたからには気になってしまう。
だから俺はすぐに仏具店に行った。
そしたら、その店にTがいた。
俺たちはお互いを見て笑った。
考えることは同じだと。
俺とTはお互い買った数珠を交換した。
やっぱり俺とTは親友だ。
次の日。
クラスメイトのSが死んだと発表された。
終わり。
■解説
なぜ、語り部とTは近いうちに葬式があることを知っていたのか。
Sの死には語り部とTが関係しているのかもしれない。