マトリョーシカ

意味が分かると怖い話

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本編

その村では女性の平均寿命が極端に短かった。
大体は25から40歳の間で亡くなっている。
男性の平均寿命は一般とは変わらず80歳前後だ。
 
特にその村では風土病などもなく、かといって女性だけが亡くなるような要因は見当たらない。
事故や病気でもなく、死んでしまうのだ。
だが、村人たちはそのことについて、誰しもが原因を追究しようとするのはもちろん、話題にすることもなかった。
 
また、村は閉鎖的なので、村の外の人間が調べに来ることもない。
 
A子の母親も30歳で亡くなっているため、父親が男手一つで育てている。
女性の平均寿命が短いこの村では、そういう家族が多い。
というより、ほとんどの家族がそうなっている。
 
そんなあるとき、A子は父親にこう尋ねた。
 
「女の人が早く死んじゃうなら、村の人たちがいなくなっちゃうんじゃないの?」
 
そのA子の問いに、父親はニコリとほほ笑んで、あることを話した。
それはこの村に古くからある言い伝えだ。
 
この村には昔から、ある人形が作られている。
それは、大きな人形を作り、その中にその人形よりも小さい人形を入れ、また、その人形の中に小さい人形を入れていくという方式の人形だ。
 
それは中から次々と小さな人形が出てくる様子は子宝に恵まれる象徴とされるのだという。
現に、その人形を作り続けている間、一度も子供の人数が少なくなったことはないと、父親は得意げに言う。
 
A子はその人形を見てみたいと父親に言うが、時期にならないと見せてもらえないらしい。
 
そして、それから10年後。
A子は家の蔵で、あるものを見つけた。
 
それは人間のミイラだった。
しかも、そのミイラには見覚えがある。
 
そして、A子は思い出した。
それは写真で見た、母と祖母だった。
 
A子は父親にどういうことかと聞くと、父親はそのミイラは前に話した人形だと言った。
なんでも、祖母の人形の中に母の人形を入れるものらしい。
 
A子はその話を聞いて、村の女性の平均寿命が短い理由がわかった。
 
終わり。

■解説

この村は、子供を産んだ女性を人形にしていた。
つまり、A子は子供を産んだのちは人形にされてしまう。

 

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動画

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