本編
ある海岸でヒトデを拾った。
そのヒトデは普通の星型とは違って、なんていうかグローブみたいな形をしていた。
コケだらけでちょっと汚い感じだったが、僕は形が気に入ったので持って帰ることにした。
以前、ヒトデを飼ったことがあるので、道具は全部揃っているし、飼い方もわかっている。
だから、それほど抵抗はなかった。
家に帰って、一旦、ヒトデをバケツに入れて、水槽の準備を始める。
水槽は数年使っていなかったので、掃除するのに時間がかかってしまった。
けれど、下に敷く砂も残っていたし、レイアウトもあるのでなかなかの出来栄えになった。
ここにヒトデを入れれば、きっと鑑賞し甲斐があるだろう。
僕は水槽にヒトデを入れようとしたが、やっぱり、コケだらけで変な臭いもするので洗ってやることにした。
コケが結構、強くへばりついていて、取るのに大変だった。
でも、1時間かけて綺麗にしたおかげで、ヒトデは綺麗になった。
でも、改めて見ると、ヒトデの先の方に固いものがついてた。
それはまるで爪みたいだった。
形だけじゃなくて、本当に変なヒトデだ。
終わり。
■解説
語り部が拾ったのはヒトデではなく、人間の手首だったのかもしれない。
動画
簡易的な読み上げの動画になります。
音声でサッと聞きたい方はこちらをどうぞ。