意味が分かると怖い話 解説付き Part461~470

意味が分かると怖い話

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万引き

3年前、俺は万引きをして、捕まった。
高校受験のための勉強漬けのストレスから、咄嗟にやってしまったのだ。
 
万引きしたのはガム1個。
値段は100円ほどだ。
 
俺は初犯だということと、受験が控えてるから学校には連絡しないでくれと頼み込んだ。
けど、あの万引きGメンは店長を説得して、親と学校、警察に連絡しやがった。
 
そのせいで、俺の受験はパーになった。
 
恨んでも恨み切れない。
 
だから、俺はあのGメンに復讐しようと考えた。
ガムとアメとシャーペンを、あいつが見えるようにポケットに入れる。
 
案の定、あいつは俺をマークし始めた。
あいつに誤認させて、名誉毀損で訴えてやる。
絶対に示談なんかしない。
大ごとにしてやるんだ。
 
俺はそれから辺りをキョロキョロと見渡した後、お菓子を何個かカゴに入れて、レジへと持って行く。
 
あいつも俺の後に続いて、レジの方へと向かう。
 
あいつに見えないようにこっそりとガムとシャーペンをカゴに入れる。
会計を済ませ、俺は用意していた袋に買ったものを入れて、店の外へ出た。
 
もちろん、あいつも俺の後をついてきた。
 
そして、あいつは俺に声をかけてくる。
 
「会計が済んでない商品がありますよね?」
 
終わり。

■解説

語り部はアメをカゴに入れ忘れている。
なので、万引きは成立する。
そして、3年前に高校受験と言っているので、今年も大学受験か就職が控えているはずである。
3年前同様、語り部は受験や就職に影響する可能性が高い。

 

ホームパーティ

3人目の子供が生まれたので、ホームパーティをすることになった。
 
だが、夫の知り合いはみんな美食家揃いで、料理を用意するのも大変だ。
私も多少は料理の腕に覚えがあるので、しっかりと準備をして作るつもり。
 
いくらなんでも、全部というのは無理だから、半分くらいはお店のもののオードブルだけど。
 
でも、今回、私が用意するものに絶対の自信のある料理がある。
 
それは生ハムメロンだ。
 
私はパーティーのために3ヶ月前からハムを仕込んでおいた。
 
案の定、当日は大盛況だった。
みんなが、今まで食べたことのない生ハムメロンだと絶賛した。
 
パーティーは大成功。
 
最後は家族4人が揃った写真を撮って、最高の記念になった。
 
終わり。

■解説

3人目の子供なのに、最後は家族が4人になっている。
つまり、用意していたハムは人間の肉だった。

 

セキュリティ

男はある重要な機密を保持していた。
国を揺るがす、文字通り自分の命よりも大切な機密だ。
 
それを盗まれないよう、男はセキュリティの面に関して万全を期している。
パスワードはもちろん、指紋認証と眼球認証も取り入れた。
 
数日後、そのセキュリティも突破され、機密を持ち出されてしまった。
しかし、男にはもう関係ない話だ。
 
終わり

■解説

男は殺され、指と眼球を奪われた。
死んでいるので、男には盗まれたことは関係ない話になっている。

 

キャンセル料

オンラインゲームのギルドメンバーの3人とオフ会をやることになった。
 
メンバーとは4年近く、ずっと一緒にゲームをプレイし、チャットや通話機能で夜通し話したことも少なくない。
下手をすると、リアルの友達以上に気心がしれていた。
 
誰が言い出したかはあまり覚えていないが、オフ会の話が出ると3人とも即座にやろうという話になったわけだ。
 
当日、ドキドキしながらお店に行くと、既に他のメンバーがそろっていた。
自己紹介をして、すぐにみんなとはゲームの話で盛り上がった。
 
そして、その中の一人が、今後はみんなの家で飲み会をしようと話になった。
そこで、全員が自分の連絡先と住所を交換した。
 
飲み会の日程は後日連絡するということになり、解散となった。
 
数日後。
メンバーの1人からゲームのチャットからある連絡がきた。
 
「当日は行けなくてごめん。キャンセル料払うよ。どこに振り込めばいい?」
 
終わり。

■解説

オフ会のメンバーは、人数の上では全員そろっていたはずである。
だが、1人が行けなかったと言っている。
つまり、当日はメンバーではない誰かが参加していたということになる。
そして、メンバー全員で連絡先と住所を交換もしている。
誰かわからないような人物に、住所を教えてしまったことになる。

 

漂流

男はクルージングをしていたところ、嵐に巻き込まれ遭難してしまう。
 
船は壊れてしまったが、幸運なことに孤島へと漂流することができた。
 
船が動かないため、男は島で救助を待つしかなかった。
 
2ヶ月後。
男は無事に保護される。
 
その後、取材陣から食料はどうしていたのかを聞かれた。
 
「幸いなことに島にはフルーツがたくさんありました。島の動物を食べてしのいでいました」
 
男はそう答えた。
 
だが、その後の調査で、当時、人間以外の動物はいなかったということがわかった。
 
終わり。

■解説

人間以外の動物はいなかったと言っている。
つまり、男が食べていたのは島にいた人間である。

 

手相占い

10年前、女は手相占いをした。
その当時、当たると噂になっていた占い師に見てもらった結果、「あなたは10年後に事故で死ぬ」と告げられた。
 
占い師は「手相は変わることがあるから」と女を慰めたが、女はずっとそのことが気がかりだった。
 
占ってもらってから10年後。
女は再び、占い師の元に行き、手相占いをしてもらった。
 
占い師は女のことを覚えていたようで、緊張した面持ちで、女のことを占った。
占い師はぎこちなかったが、微笑みながら「手相は変わっています」と告げた。
 
女は安堵した。
軽い足取りで家に帰る途中、女は車の事故に巻き込まれて亡くなった。
 
終わり。

■解説

女の手相は「10年後に死ぬ」というものから「今日死ぬ」ものに「変わった」だけであった。

 

返納

私は去年、免許の返納をした。
70歳になったので、子供や孫から説得されれば仕方ないことだ。
 
とはいえ、今まで車で買い物してたので、ちょっとした買い物も一苦労になる。
週末の買い物のために、スーパーに行く。
頼まれていたものを買い、商品をマイバックに入れていると、隣に私と同じくらいの年の男性がやってきて、同じように買った商品を袋に入れ始めた。
 
「結構な量ですね」
 
男が私の買ったものの量を見ながらつぶやくように言った。
 
「ええ。一週間分ですからね。2人分だとしても、結構な量になるんですよ」
「私もです。買い物一つで大変ですよ。安いからここまで来ないと、妻に文句言われますし」
「うちも一緒ですよ」
「奥さんは一緒じゃないんですか?」
「車で来てたときは一緒だったんですけどね。返納して、バスになってからは一人ですよ」
「あー。なるほど。返納したんですね」
「ええ。駐車するときに、結構、車を擦るようになりましてね。子供たちに返納しろって言われて……」
「ああ、わかります。私も、2年前に、小学生を轢きそうになりましてね。運転に自信がなくなりましたよ」
 
そのあと、10分ほど雑談をして、私たちは会釈をして別れた。
私はバス停がある出口に向かい、男は逆方向の出口へと向かった。
 
終わり。

■解説

男はバス停に向かっていない。
つまり、免許の返納をしていないことがわかる。
2年前に小学生を轢きそうになっているのに、返納をしていないことから、今後、事故を起こす可能性は高い。

 

友達

中学の時、凄く仲が良かった友達がいた。
だけど、高校生になったとき、違うクラスになったということもあり、疎遠気味になった。
 
そんなとき、その友達がいじめを受けているという噂を聞いた。
俺はその友達の家に行き、話を聞いてみた。
 
友達はかなり精神的に追い詰められていた。
 
俺はなんとか友達の支えになってあげようと、家に通っていたが、あまり効果はなかった。
 
精神的に病み、憔悴しきった友達に、俺は荷造り用のロープを渡した。
 
すると友達は「ありがとう。勇気が沸いた」と笑った。
 
次の日。
友達のことはちょっとしたニュースになった。
 
10年後の今、俺は毎年、その友達のところへ行っている。
 
終わり。

■解説

友達は語り部から貰ったロープで自殺した。
今も友達のところへ行っているのは墓参りである。

 

カエル

その男の子は生き物を捕まえるのが好きだった。
 
同級生はゲームに夢中になる中、男の子は虫取り網を持って駆け回っている。
 
あるとき、男の子は変わったカエルを見つけた。
今まで見たこともない黄色いカエルだ。
 
男の子は手で捕まえて家で飼うことにした。
 
次の日。
男の子が住む近所で、男が過失致死の疑いで逮捕された。
 
終わり。

■解説

男の子が捕まえたのはモウドクフキヤガエル。
次の日に捕まったのは、このカエルの飼い主。
つまり、男の子はカエルの毒で亡くなったと考えられる。

 

終身雇用

女は起業をし、新しい会社を設立した。
しかし、社員を募集したがなかなか思うように人が集まらない。
 
そこで、女は「終身雇用」を目玉に募集を行った。
 
すると思っていた以上に募集に人が集まり、無事に予定の人数の社員を確保できた。
 
しかし、その後、会社の経営が傾いてくる。
リストラしないと会社は潰れてしまう状況だ。
 
ただ、終身雇用で雇っている手前、リストラはできない。
退職希望者を募ったが、誰も辞めようとはしなかった。
 
そこで女はあることを考えて、実行した。
 
そのおかげで終身雇用の約束を破ることなく、社員を減らすことに成功した。
 
終わり。

■解説

終身まで雇用すればいいので、女は邪魔な社員を何かしらの方法で殺した。

 

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