本編
今、日本であるトレーディングカードゲームが流行っている。
僕ももちろん、そのゲームにはまっている。
お小遣いを全部、カードにつぎ込んでもレアカードなんて出ない。
だから、全然勝てない。
それが凄く悔しい。
でも、そんなとき、応募者の中から1人だけに超レアカードが当たるというキャンペーンがあった。
僕はそのとき、お年玉を全部つぎ込んで応募ハガキを買った。
でも、やっぱり、そういうのは当たらない。
そう思っていたら、クラスメイトで当たった奴がいた。
超レアカードだから、物凄く強い。
そいつは今まで、クラスの中でも雑魚だと思われてたのに、一気に学校内でもトップにプレイヤーになった。
凄いズルい。
あんな奴にあのカードは勿体ない。
カードの能力も全然、使いこなせてない。
だから、僕は計画を練って、そいつから例の超レアカードを取ってやった。
アリバイなんかも頑張って作ったから、僕が盗んだとはバレなかった。
そいつはガッカリしていた。
それを見て、ちょっと可哀そうになったけど、あいつに持たれるより、僕の方が絶対、超レアカードを使いこなせるはずだ。
だけど、ほとぼりが冷めるまで、そのカードは使わないようにした。
それから1年後。
ほとぼりが冷めた頃、ある大会に出た。
日本一を決める大きな大会だ。
そこで僕は優勝した。
壇上でインタビューされて、ドキドキしたけど、すごく嬉しかった。
終わり。
■解説
超レアカードは1枚しかないはずである。
それを使って優勝し、インタビューまで受けてしまった語り部。
大勢の前で、レアカードを盗んだことを自白してしまったことになる。