町の古い時計台

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本編

その町には古い時計台があった。
その時計台の時計はすでに動いておらず、長い間、ずっとその状態だった。
 
そんなある日。
ある少年が、なぜ、その古い時計台を壊さないのかと疑問に思い、町の人たちに聞いて回った。
 
すると、そのほとんどの人が口を揃えて、壊すなんてとんでもない、どんな災いがあるかわかったものじゃないと答えた。
 
なぜ、町の人たちがその時計台を怖がるのか不思議に思う少年。
 
すると、突然、町の中である男が見つかった。
男は12年間行方不明になっていて、しかも、その12年間のことの記憶がないのだという。
 
ただ、男は答えた。
自分はあの古い時計台に興味を持って入っていったのだと。
それ以降の記憶がなく、気づいたら町の中にいたのだという。
 
その話を聞いて、少年はますます時計台に興味を持つ。
 
そして、周りの制止を振り切るように、深夜に時計台へと一人向かう少年。
 
階段を上って時計室に到着する。
時計室には古びた時計機構があり、針がしっかりと動いていた。
しかし、奇妙なことに、それぞれの数字の代わりに、人々の顔が描かれた小さなプレートがあった。
少年は興味津々で時計の仕組みを観察していると、なんとそこに自分の顔が描かれたプレートがあることに気づく。
 
少年はそれ見て、全てを悟り、すぐに逃げようとした。
しかし、それと同時に時計が止まり、針が少年の顔を指す。
 
その日以降、町で少年を見たという者はいなくなった。
 
終わり。

■解説

その時計台は時間が止まった者の魂を封じる呪いの時計台だった。
12年ごとに解放され、また新しい人間が時計台によって封じ込まれる。
少年はこの時計台に封じ込められ、再び出ることができるのは12年後となる。

 

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