家守

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■本編

最近、何をやってもついてない。
身内の不幸や、俺自身の事故や病気も続いている。
 
俺は占いなどは信じないタイプだが、さすがにここまで続けば、見てもらいたくもなる。
そこで、巷で有名と言われる占い師のところに話を聞きに行った。
 
占い師の話では家に悪い気が溜まっているせいで、運気が下がり続けているのだとか。
このままで、俺の命が危ないらしい。
 
そこまでの話を聞いて、俺は身構えた。
何か買わされるのではないか、と。
 
占い師はその運気を高める方法が1つだけあるのだという。
 
俺は「来た」と思った。
何かを買えと言われた瞬間、この場から立ち去ろうと考えていた。
 
だが、俺の考えは完全に的外れだった。
 
占い師は「早急にヤモリを飼いなさい」とのことだった。
ヤモリは家守とも言われるらしく、家を守ってくれる生き物らしい。
 
別にその占い師からペットショップなどを紹介されもしなかったので、俺はダメ元で信じてみることにした。
 
とはいえ、わざわざ、ペットショップからヤモリを買うというのも、なんか違う気がした。
 
そんなことを考えていると、川縁で、なんとヤモリを見つけた。
俺はさっそく、ヤモリを捕まえ、家に連れて帰った。
 
明日、ヤモリを入れる容器でも買ってこようと思いつつ、その日は適当な容器に入れて寝た。
 
しかし、朝になったらヤモリはいなくなっていた。
 
また捕まえないといけないなと思っていると、風呂場からパシャパシャと言う音がした。
行ってみると、水が入った洗面器の中で、ヤモリが優雅に泳いでいた。
 
よかった。
 
俺は今度は蓋つきの容器に入れ、ヤモリ用のカゴを買いに行った。
 
終わり。

■解説

ヤモリは爬虫類のため、水辺にいることは少なく、自分から水の中に入って泳ぐことはない。
つまり、語り部はヤモリとイモリを間違えている。
また、占い師はすぐにヤモリを買わないと、語り部の命も危ないと言っている。
語り部は勘違いをしているため、改めてイモリを飼おうとするとは思えない。
今後、語り部の身に、何かが起こるかもしれない。

 

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