手術

意味が分かると怖い話

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■本編

50年間、ずっと健康で過ごしてきた俺も、ついに体にガタが来て手術をすることになった。
今まで体が丈夫と言うことをいいことに、健康に気を使ってきていなかったので、仕方ないことだが。
 
とはいえ、この年になっても手術は怖い。
全身麻酔をするのはもちろん、今まで入院すらしたことがなかったのだから。
 
だからと言って、怖いから手術なんて受けないなんてことも言えない。
それこそ、いい年をした男が何を子供みたいなことを言っているんだと笑われてしまう。
 
腹をくくって、我慢しよう。
 
そんな不安を抱えて過ごすうちに、手術日の当日になった。
 
看護師さんからは「起きたら終わってますから」と言われたが、やっぱり不安だ。
 
そして、ついに手術が始まる。
医者がメスを持って俺の腹を切り、胸を開けた。
 
なにか、専門用語を言いながら、手術は続いていく。
 
これなら大丈夫そうだ、と思っていた時だった。
 
「あっ!」
 
いきなり医者が変な声を上げた。
 
「重要な部分を切ってしまった」
 
それからは大慌てだ。
医者も看護師さんも慌てている。
 
「もうダメだ! 手術は失敗だ」
 
医者がそういうのと同時に、心電図の音がピーと鳴った。
 
「死亡が確認されました」
 
ポツリと医者がそう言った。
 
冗談じゃない!
俺はまだ死にたくない!
 
俺は思い切り、そう叫んだ。
 
すると、視界がパッと切り替わる。
普通の手術風景だ。
医者も看護師さんも慌てていない。
 
なんだ、夢だったのか。
俺はホッと安堵した。
 
終わり。

■解説

語り部は手術の途中で起きてしまっている。

 

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