真夏の夜

意味が分かると怖い話

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■本編

夏の気温が年々、上がってきている気がする。
夜でさえも、暑苦しくて寝れないくらいの日が続いている。
 
本当はエアコンを付けて寝たいところだが、頭の痛いことに電気代も上がっている。
だから、エアコンは昼間の短い間だけ、ガンガンに付けて、部屋を一気に冷やしているのだ。
 
冷たい物を飲んだりしてしのいだりもしたけど、飲み過ぎて腹を壊してしまった。
 
そこで、精神的に涼しくなろうと思い、昼間から心霊のDVDを見ることにした。
最初はバカにしていたけど、確かに効果がある気がする。
あんなに暑かったはずなのに、汗一つ掻いていない。
 
これなら寝れそうだと思い、目を瞑るとすぐに眠れた。
 
だけど、やはり何時間も心霊のDVDを見たのは間違いだったかもしれない。
 
いきなり金縛りにかかってしまった。
そして、さっきから真横に何か人の気配がする。
 
何とか体を動かそうとするが全く動かない。
すると、突然、目の前に髪の長い女が現れ、俺の首を絞め出したのだ。
 
ぎゃああああ!
 
俺は跳び起きた。
 
もう朝になっていた。
 
なんだ、夢だったのか。
 
それにしても涼しさという意味では、心霊は効果ありだったかもしれない。
 
そう思っていると、俺はあることに気づき、全身が震えた。
その後、俺は高熱を出し、二、三日寝込むことになった。
 
終わり。

■解説

昨日の夜から、ずっとエアコンをガンガン効かせた状態だった。
つまり、語り部が涼しく感じていたのは心霊のためではなく、エアコンが効いていたから。
振るえたのは電気代のことを考えたからで、高熱を出したのはエアコンで部屋を冷やし過ぎたことによる寝冷えである。

 

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