フリマサイト

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本編

そのフリマサイトは本当に何でも売れるし、買える。
 
こんなの誰が買うんだよと思うようなことやこんなの買ってくれるんだって思うようなこともある。
 
もちろん、そのサイトはいわゆるダークウェブに存在している。
俺は最初、この危険そうなサイトに抵抗を覚えたが、一度使ってしまえば抵抗感もなくなった。
使い始めてからはほぼ毎日のように使っている。
 
俺はこの『なんでも売れる』というのを利用して、かなりの額を稼いだ。
まあ、頭の使いようだよね。
何を売るかが勝負ってわけ。
 
普通の物を売っても売れるわけがない。
気を引く普通じゃないものを出せば、結構な額で売れる。
 
これで俺は稼いだってわけ。
もちろん、普通のフリマサイトで売れるようなものじゃダメだ。
絶対に表に出ちゃダメなものとか、犯罪を犯さないと手に入らないようなものが好まれるよね。
 
まあ、俺が儲けたってことは、どんなことをしてきたかは察して欲しい。
 
でもさ、やっぱり、こういう危険なことをして稼ぐのってどこかで失敗すると人生が終わる。
だから、俺はここでサッと稼いで、その金を元手に合法的に増やそうと思ったってわけ。
 
っていっても、ありきたりだけど株をちょっとね。
 
でもさ、資金があれば上手くいくっていうなら、金持ちはみんな損しない。
俺もあのサイトで儲けてたっていうのがあるから、正直、株なんて簡単だろうっと思ったんだ。
 
だけど、俺は失敗した。
一生かかっても返せないほどの額の借金をする羽目になった。
 
毎日のように取り立てが来て、気が狂いそうになる。
 
そこで俺は自暴自棄になって、あのサイトにもう一度手を出すことにした。
 
今まで自分がずーっと大切にしてきたもの。
俺にとって1番重要なもの。
これだけは絶対に売らないって決めてたもの。
 
それを今回は売りに出した。
売れるなって願いながら。
 
そして、俺の願いも虚しく、売れてしまった。
 
次の日。
俺の人生は幕を閉じた。
 
終わり。

■解説

語り部が最後まで売ろうとしなかったもの。
それは語り部の命。

 

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