本編
その女の子は生まれつき、普通の子供より肌が白かった。
そのせいで周りの子供たちからイジメれている。
そのこともあり、女の子は家に閉じこもりがちになっていた。
毎日、絵本を読んで過ごす日々が続く。
女の子が特に好きなお話は白雪姫だった。
白雪姫も肌が白く、継母や義姉にイジメられていたが、最後に幸せになるという話の虜になる。
毎日のように大好きな母親に白雪姫を読んでもらいながら寝るのがお気に入りだった。
そんなある日、女の子は勇気を振り絞って一人で図書館へ行く。
借りてきたのはグリム童話の『シンデレラ』だった。
女の子はさっそくシンデレラを読み、すぐに母親のところへ駆け寄った。
「ねえ、お母さん。私、シンデレラみたくなっちゃうのかな?」
「ん? そうね。きっとなれると思うわよ」
女の子はその日以来、ふさぎ込んでしまい、そしてついには自分で命を絶ってしまった。
終わり。
■解説
絵本が家にあるのに、わざわざ図書館に行って借りたということは、女の子が借りたのは原作のシンデレラの可能性が高い。
そして、原作のシンデレラでは、シンデレラをイジメていたのは実の母親であり、最後にはシンデレラの手で母親を処刑している。
女の子は将来、このシンデレラのようになるのが嫌で、自分で命を絶ってしまった。