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これは高校の修学旅行の時の話だから、4年前になる。
私の学校の修学旅行の行き先は沖縄だった。
その次の年からは海外になったらしいけど、それは関係ないので置いておく。
いや、もし私の代から海外だったら、あんなことにはならなかったと思ったら、関係なくはないかも。
とはいっても、そんなことを言い出したところで、過去を変えられるわけではないし、あんまり意味はないのは変わらないと思う。
その当時の私たちは、沖縄でも、かなりはしゃいでいた。
今まで沖縄には行ったことなかったし、奈良とか京都でお寺を見るよりはずっといいと思ってたからだ。
それで友達と、自由時間に何をするかという話になり、私たちはスキューバダイビングをすることにした。
誰が言い出したかは忘れたけど、すぐに決まったと思う。
5人の班だったのに、誰も嫌だと言う子はいなかった。
まあ、4人が行きたいと言えば、例え、行きたくなかったとしても反対できなかったのかもしれないけど。
私は元々やってみたいと思っていた方だから、すぐに賛成した。
修学旅行の3ヶ月前から、友達と色々とスキューバダイビングのことを調べてたりしてた。
言ってしまうと、それはあんまり意味がなかったのだけれど。
そして、修学旅行当日。
自由時間になったら、私たちはすぐに予約していたお店に行った。
そしたら、お店で予約なんて入ってないと言われた。
そんなはずはない。
みんなでドキドキしながら、サイトから受付したのを見てたし、予約番号もメモしていた。
その画面をちゃんとスマホにも撮っていたから、それをお店の人に見せた。
お店の人は写真が残ってることで、私たちが嘘を言っているのではなく、お店の方のサイトの不具合だということになった。
私たちは当たり前だと憤慨したけど、予約が入ってないという状況は変わらない。
しかも、修学旅行ということで、他の組の班も予約していたから、空きがなかった。
私たちは不満を言ったけど、予約が空くわけじゃない。
何度もお店の人に謝られ、ガッカリしながら店を出ようとしたときだった。
「あそこだったら空いてるんじゃないんですか?」
店の奥から、若い男の人が出てきて、受付の女の人にそんなようなことを言った。
受付の女の人は顔をしかめて、すごく悩んでいたようだったけど、「まあ、大丈夫か。何かあったら、すぐに中止して」なんてことを言う。
そしたら、若い男の人が「決まりだ。君たち、ダイビングできるよ」と私たちに言ってくれた。
私たちは一回諦めてたこともあり、物凄く喜んだ。
あんな不吉なことを言われていたのに。
その若い男の人がインストラクターで、その場所へと向かった。
それは結構離れた場所で、周りには私たち以外に、誰も人はいなかった。
インストラクターの男の人は「ここは穴場なんだよ」なんて言っていた。
もし、予約で潜ってたとしたら、周りに結構人がいる状態だったらしく、却って、予約が入ってなかったから、貸し切りみたいな感じで潜れることになったらしい。
事情はなんにせよ、私たちはダイビングが体験できるだけで満足だった。
インストラクターの男の人の指示で、海の中に潜っていく。
海の中は本当に綺麗で、魚やサンゴも見れた。
思わずスマホで撮りたいと思ったけど、もちろん、水の中にスマホなんて持ち込んでいない。
だから、しっかりと目に焼き付けようと、海の中を見渡した。
そのときだった。
岩の割れ目のようなところから、黒くて長いものが漂っているのを見つけた。
最初は昆布かなって思った。
だけど、昆布にしては細か過ぎる。
それで、何だろうと思って、じっと見ていると、段々と『髪』に見えてきた。
人間の髪。
普通、そんなものを海の底で見れば、パニックになって、すぐにインストラクターに言うだろう。
でも、その時の私は「溺れている人がいる。助けなくちゃ」と考えた。
今、改めて思い出しても、なんでそんな思考になったのかはわからない。
私は髪が漂っている、岩の割れ目まで泳いだ。
そして、割れ目の中を覗き込んだ。
目が合った。
割れ目は思ったよりも大きくて、その割れ目の中に人がいた。
目をぱっちりと開けて、私を見ていた。
瞬きをしていたので、生きている。
スキューバダイビングのスーツとか、ボンベとかを身に着けてなかった。
それなのに全く苦しそうにしていない。
平気な顔をして、こっちをジッと見ていた。
私は一瞬で混乱し、すぐにみんなのところに戻った。
インストラクターの人に、勝手に一人で行動したらダメだと怒られた。
私は、ごめんなさいと謝って、もう疲れたから、上がりたいと言った。
インストラクターの人は、わかったと言って、先に船の上にあげてくれた。
他のみんなは時間までスキューバダイビングを楽しんでいた。
私は早く、時間が終わらないかと船の上でガタガタと震えながら待った。
そして、スキューバダイビングは終わりの時間になって、みんなでお店に戻った。
制服に着替えて、お店を出る。
集合場所に向かいながら、みんなはダイビングが面白かったと話している。
その間、私はずっと黙っていた。
海で見たことは誰にも話さなかった。
言ったところで誰も信じないと思う。
だって、割れ目の中にいたのは、私だったからだ。

