毎晩動く遺影

意味が分かると怖い話

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本編

おばあちゃんは、おじいちゃんが亡くなってから、かなり元気がなくなった。
おばあちゃんとおじいちゃんは凄く仲がよく、どこに行くのにも一緒だった。

だから、おじいちゃんが亡くなったとき、周りはおばあちゃんが後を追うんじゃないかと思ってかなり心配していた。

確かにおばあちゃんはかなり落ち込んでいたが、周りが心配するほどではなかった。
後を追うこともなさそうなので、僕もホッと一安心した。

どうして、おばあちゃんが気持ちを持ち直すことができたのかを、母さんは不思議がっていたが、僕は理由をおばあちゃんから聞いていた。
それは、おじいちゃんがおばあちゃんを見守っているかららしい。

どういうことかというと、おじいちゃんの遺影は居間にあるのだが、いつもおばあちゃんの方を向いている。
つまり、おばあちゃんはいつもおじいちゃんに見守られているから、元気になれたって言っていた。

それから3年が経ち、おばあちゃんはすっかり元気になり、おじいちゃんが亡くなる前と同じくらい活動的になっている。

その間、おじいちゃんの遺影はいつもおばあちゃんの方向を向いていた。
きっとおばあちゃんが遺影の角度を変えているんだろう。
3年間、ずっと、1日も欠かさずに変えていることに、僕は感心した。

でも、もうそろそろそれをしなくてもいいんじゃないかと思って、おばあちゃんにそれとなく話そうとした。

「おばあちゃん。おじいちゃんの遺影のことだけど……」

そしたら、おばあちゃんは笑顔になって、こう言った。

「ありがとうね。毎日大変だっただろう? もう大丈夫だよ」

終わり。

■解説

遺影を動かしていたのはおばあちゃんではない。
そして、もちろん語り部でも、母親でもない。
では、誰が遺影を動かしていたのだろうか?