■概要
意味が分かると怖い話です。こちらは創作(オリジナル)となっています。
※転記や自作発言は止めてください。
■本編
私は昔からよくイジメられていた。
歩くのがうるさいとか、先生に可愛がられてるとか、なんか気持ち悪いとか、ほとんど言いがかりみたいな理由で。
それで色々と意地悪された。
教科書や机に落書きされるのは別にいいんだけど、上靴とか連絡帳を隠されるのは正直、困った。
けど、私もやられっぱなしというわけじゃない。
しっかりと仕返しはする。
私は人よりも耳が良いみたいで、教室の端にいても、全員の話していることを聞き取れるんだよね。
だから、悪口とか、誰が誰を好きとかっていう話を聞き取って、本人にバラしたりして、友人関係を壊すなんてこともやってたんだ。
……今、考えると結構、悪質だよね。
でも、私も同じくらい意地悪されたから、おあいこってことで。
だけど、今回は完全にこれが裏目に出た。
クラスメイトの葵が、そんな私に目を付けてイジメ始めたのだ。
これがかなり悪質で、今までは意地悪で済む程度だったんだけど、怪我をするくらい。
しかも、周りには自分がやったってバレないようにするのが上手い。
仕返ししようにも隙を出さないし、ホントに困る。
そんな中、私を庇ってくれる人もいた。
違うクラスの朱莉ちゃん。
葵とは双子で、親でも見分けが付かないくらいそっくりらしい。
今まで見分けられた人がいないんだってさ。
まあ、私からしたら、全然違うでしょって感じなんだけどね。
とにかく、葵と朱莉ちゃんは双子でも、性格は真逆。
朱莉ちゃんは本当に優しくて、いつも私の味方をしてくれる。
ホント、天使って、朱莉ちゃんみたいな子を言うんだと思う。
そんなとき、葵と朱莉ちゃんの誕生日会を開くってことで、家に呼ばれた。
最近の葵は本当に調子に乗ってて、手が付けられないほどだ。
だから、私はちょっとした悪戯をすることにした。
「誕生日会で葵に不幸が訪れる」
そんな手紙を出してやったの。
葵はこんなのはただの悪戯だって強がってるけど、ずっと朱莉ちゃんの近くにいるから、大分、ビビッているみたい。
そっくりな朱莉ちゃんと一緒にいれば、相手が見分けがつかないはずだから、大丈夫だって思ってるんだろうね。
ざまあみろ。
これで少しは懲りたか、って思ったときだった。
急にバンと音がしたと思ったら、みんなが叫び始めた。
物凄い混乱ぶりだ。
それから5分後。
今度はさっきよりも凄い悲鳴が聞こえてくる。
阿鼻叫喚ってやつ。
なんと、葵が包丁で刺されていたみたい。
すぐに警察が来て、葵の両親や誕生会に参加している人たちからの事情聴取を始める。
そして、警察は私を容疑者として逮捕した。
調べたところ、葵になにか目印みたいなものを付けられてた痕跡がなかった。
だから、『停電で暗闇の中』、葵を特定して刺せる人間は『盲目』の私しかいない、だって。
うん。いい推理だね。
私が、葵と朱莉ちゃんを判別できることは、みんな知ってたし。
私が警察だったら、きっと同じことを考えたと思う。
でもね、私は数日後に釈放されたんだ。
なぜなら、真犯人が見つかったから。
え? 誰が犯人か、って?
いるじゃない。
私以外で見分けることができる人が。
――もう一人だけ。
終わり。
■解説
犯人は朱莉。
親でも見分けがつかないくらいそっくりな双子でも、本人にはどっちが葵かがわかる。