ゴミの分別
家の隣のおばさんが、ゴミの分別にすごくうるさい。
ゴミの日に、収集所に捨てられているゴミ袋を開いて、分別されていないゴミがあったらその家の前にそのゴミ袋を置いている。
どのゴミ袋がどの家の物かわかるとか、異常だ。
そのせいか、周りの家からの評判は物凄く悪い。
それはそのおばさんの家でも同じなのか、よく家の中から言い争いが聞こえてくる。
息子との仲も険悪みたいだ。
そんなある日、資源ごみの日なのに、おばさんの家の息子が生ごみを捨てていた。
珍しいな。
絶対、あのおばさんが許さないと思う。
でも、その日から、ゴミの分別をされることはなくなった。
そういえば、あの日からおばさんの姿を見ない。
何かあったのかな?
終わり。
■解説
おばさんは資源ごみの日に、息子によって殺害され捨てられてしまった。
同時押し
んな都市伝説が流行った。
嘘だと思いながらも、僕は自動販売機でジュースを買うときは試している。
いつもコーヒーとコーラを選んで押すけど、1回も成功したことはない。
でも、なんか諦めきれなくて、近くにコンビニがあっても自動販売機があれば、そっちで買ってしまう。
今日もさっそく試してみる。
出てきたのは1缶だけだ。
やっぱりダメか。
本当に2つ出てくることなんてあるんだろうか?
それにしても、今日のココアは随分と甘いな。
終わり。
■解説
語り部はいつもコーヒーかコーラで試しているはず。
しかし、出てきているのはココアになっている。
洗濯物
最近、風が強いせいか、隣の家の洗濯物がこっちのベランダに飛んでくる。
最初は返しに行こうかと思ったが、面倒くさいし、飛ばす方が悪い。
俺なんかは、飛ばされないようにちゃんと固定しているのだ。
だから、悪いと思うが飛んできた洗濯物は捨てさせてもらっている。
まあ、あっちも飛ばされたものをそのまま履こうなんて思わないだろう。
そろそろ洗濯しよう思っていると、警察官がやってきた。
話を聞くと、最近、隣の家に下着泥棒が出るとのことだ。
俺は男だから関係ない。
それにしても、この辺も治安が悪くなったものだ。
終わり。
■解説
隣の家の洗濯物が飛んで来たのを、盗まれたと思い込まれている。
つまり、語り部はその犯人だと怪しまれているということになる。
死神
私は小さい頃から死神が見える。
近くに死神がいる人は3日以内に死んでしまう。
今まで、何とか死神を追い払おうとしたけど無理だった。
だから、それはもうその人の寿命なんだろう。
今回も、ちょっとした検査入院の同じ病室の子のところに死神がいた。
勘弁してよ。
2人部屋なんだから、その子に決定だ。
その子は明日、退院らしいけど、きっと容体が急変するんだろう。
ご愁傷様。
なんて思ってたら、何事もなく退院していった。
それなら事故でも起こすんだろう。
って、あれ?
まだ死神がいる。
なんでだろ?
終わり。
■解説
部屋は2人部屋と言っている。
つまり、死神が憑りついていたのは語り部だった。
千羽鶴
少年はある日、体調を崩して入院した。
学校を休むことになった少年の元に千羽鶴が届く。
折り鶴は本当に千羽あり、全部の鶴が首までしっかり折ってあった。
しかも、千羽鶴は一人で折ったらしい。
それを聞いた母親は少年にこう話した。
「強い願いは叶うから、絶対に治るはずよ」
少年は何気なく1つの鶴を解いて見てみた。
それを見た少年は絶望し、すぐに千羽鶴を捨てた。
それから1ヶ月後、少年の体調は悪くなり、退院することなく亡くなった。
確かに千羽鶴の願いは叶ったようだ。
終わり。
■解説
千羽鶴の首は縁起が悪いからという理由で折らない場合がある。
そして、少年は千羽鶴の中を見てから、絶望している。
それは鶴の一つ一つに呪いの言葉が書いてあった。
作った相手の強い願いが叶ったというわけである。
ビスケット
3歳の息子はビスケットが好きだ。
朝に1枚渡すようにしている。
前は10枚くらい欲しがったが今は1枚で満足している。
理由を聞くと、ポケットに入れて叩くと増えるかららしい。
増えるところを見せてと言うと、息子はビスケットを1枚ポケットに入れて叩いた。
すると、半分に割れて半月形になったビスケットを見せてきた。
あまりにも可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
息子はもう一度ポケットを叩いてから、ビスケットを渡してくれた。
このまま真っすぐに育ってほしい。
そう思いながら半月形のビスケットを食べた。
終わり。
■解説
ポケットを2回叩いたなら、ビスケットは4分の1の大きさになってないといけない。
しかし、語り部は半分の形のビスケットを食べている。
つまり、息子は本当にビスケットを増やしていることになる。
砂糖菓子
男は有名な砂糖菓子職人である。
今まで様々なものを砂糖菓子で作ってきたが、一見するとどちらが本物かがわからないほどだ。
色々なものを作ってきた男はありきたりなものを作るのに飽きてきていた。
そこで男の家に代々伝わる日本人形で砂糖菓子を作ることにした。
国宝級の人形を砂糖菓子で再現する。
男にとって、それはいい刺激になった。
さっそく売り出してみると、かなりの大反響があり、作ったものは全て売れた。
男は満足し、人形をしまおうとした。
すると、3歳の息子がイタズラでかじってしまった。
慌てて止める男。
それから息子はことあるごとに人形を狙うようになった。
終わり。
■解説
子供がかじった後にまた狙うのはおかしい。
つまり、人形は間違えて送ってしまい、残ったのは砂糖菓子ということになる。
パトロール
日曜日の夜。
仕事でヘトヘトになって帰ってきたら、空き巣に入られていた。
お金とかは盗られなかったけど、下着を根こそぎ盗まれた。
最悪だ。
幸い、明日は休みだから買いに行こう。
家の中を結構荒らされてたから、犯人はこの時間、私が帰って来ないとを知ってるのかもしれない。
とにかく、警察に連絡してすぐに来てもらった。
来てくれたのは中年の小太りの男の人だった。
家を見るなり、その警察官は空き巣だと察してくれたようだ。
襲われるのが怖いので、私が家にいる時間にパトロールしてほしいとお願いした。
すると、その警察官は快く了承してくれる。
そして、明日は1日、見回ってくれると言ってくれた。
終わり。
■解説
なぜ、警察官の男は語り部が月曜が休みで家にいると知っていたのか。
もしかすると犯人は警察官の男かもしれない。
閻魔大王
男は病死し、あの世で閻魔大王に裁かれるための列に並んでいる。
生前、男は処刑人をしていた。
連れてこられた罪人を処刑するという仕事だ。
男は信念と政府の正義を信じて処刑を行ってきた。
人の命を奪ってきた自分は地獄に行くのだろうと男は覚悟する。
しかし、ある老人が閻魔大王に「自分は軍人で、人を助けるために多くの人間の命を奪った」と説明していた。
その老人は意外にも、天国へ行くことに決まった。
人のために働いていたことを評価されたようだった。
男は自分も人の命を奪ったが、正義のためだと閻魔大王に説明した。
閻魔大王は資料を見て、男の地獄行きを決めた。
終わり。
■解説
男の元に連れてこられた人間は罪人ではなく、政府に都合の悪い人間だった。
第六感
私は昔から第六感が働く。
今まで外したことがないほどだ。
だから、私は自分の第六感に絶対の自信がある。
第六感が働いたときは、それに従うことにしている。
あるとき、私の親友が変死した。
彼女がいたところは密室で、警察は自殺だと考えている。
でも、私の第六感が言っている。
これはTの犯行だと。
なので私は独自に調査を始めた。
そしたら、Tは彼女が死ぬ1週間も前に自分で命を絶っていた。
おかしいな。
絶対にTだと思ったのに。
私の第六感が初めて外れてしまった。
終わり。
■解説
語り部の親友は、Tの幽霊によって呪い殺された。
呪い返し
少女は1週間ほど前から起こる怪奇現象に苦しんでいた。
命の危険を感じた少女はある霊能力者に相談することにする。
霊能力者に怪奇現象のことを話すと、それは呪いだと言われた。
そこで少女は霊能力者から呪い返しを勧められる。
呪いを呪った相手に返すというものだ。
少女はそんなことができるのかと聞くと、霊能力者は10日ほど前にもやったと答えた。
それを聞き、少女は呪い返しをお願いする。
呪い返しは成功し、少女の呪いは呪った相手へと返っていった。
数日後。
少女は怪奇現象により、命を落とした。
終わり。
■解説
少女は最初に誰かを呪っていた。
その呪っていた相手が霊能力者に相談し、呪い返しをした。
つまり、少女を襲っていた怪奇現象は呪い返しによるものだった。
もう一度、呪い返しをしたところで、呪いは続いたというわけである。