トマトジュース
私はトマトジュース通だ。
ききトマトジュースで間違えたことはない。
それを友達に話したら、勝負しようってことになった。
6種類のトマトジュースの銘柄を当てるってルールだ。
当てれたら1万円もらえて、間違えたら1万円払うという勝負。
もちろん、私は勝負を受けた。
そして私は友達が用意したトマトジュースを飲んでいく。
その中で明らかに変わった味の物があった。
トマトジュースに血を混ぜたやつだ。
道理で、友達は自信満々で1万を賭けたわけだ。
でも、残念だったね。
終わり。
■解説
語り部はなぜ、すぐに血が入っているとわかったのか。
語り部は普段から血を飲んでいた可能性がある。
都合よく空いた部屋
4月から俺は大学生になり、一人暮らしを始める。
大学から近くて、とてもいい物件を見つけたんだが、ちょうど、昨日、他の学生が借りてしまったらしい。
仕方ないから違う部屋を探してみてるけど、全然見つからない。
どうしようかと思っていたら、不動産会社から連絡が来た。
なんと、あの部屋が空いたらしい。
ラッキーと思って、俺はすぐにその部屋に決めた。
でも、引っ越した次の日から、夜に部屋で不気味な声が聞こえるようになった。
きっと、前の住人もこの声のせいで引っ越したんだろう。
そう思っていたけど、どうやら違っていた。
俺の前に部屋を借りた人は引っ越しをしていないらしい。
終わり。
■解説
前の住人が死んだため、部屋が空いた。
不気味な声は前の住人のものなのかもしれない。
環境活動家
周りは私のことを環境活動家と揶揄するが、間違っている。
私は単に、地球に住む動物たちには平等に権利があると思っているだけだ。
人間が見世物小屋にいれば、誰だって文句を言う。
それなのに動物園に声をあげる人間はごくわずかだ。
だから私は多少、強引でも動物を解放するのが使命だと思っている。
これまでも5つの動物園の動物を解放してきた。
今度のターゲットは競馬場だ。
馬を無理やり走らせて、それを見世物にするなんて。
本当に信じられない。
私は競馬場の馬の宿舎へと向かう。
そして、柵とドアを開け放った。
だが、出ていく馬は一頭もいない。
急に自由になることに戸惑っているのかもしれない。
私は後ろから馬に近づき、思い切り尻を叩いた。
馬はかなりビックリしたようだ。
これで、きっと外に出てくれるだろう。
終わり。
■解説
馬に後ろから近づき、驚かせてしまうと蹴られてしまう可能性が高い。
語り部は解放しようとした馬によって死んでしまうかもしれない。
メンヘラ
私はよく人からメンヘラだと言われる。
単に一途で、ちょっと嫉妬深いだけなのに。
好きな人が誰かに取られるくらいなら、好きな人を消したいと思うのは普通でしょ?
だから、彼が他の女と付き合っているって聞いたときは本当にショックだった。
私はその女よりもずっと前から彼を好きだったのに。
でも、もういいんだ。
だって、新しく好きな人ができたから。
私の前から消えた彼のことなんて、もうどうでもいい。
私はこの新しい恋に集中するんだ。
終わり。
■解説
語り部は好きだった彼を殺害した。
私の前から消えたというのは、あの世に行ってしまったからである。
落ち武者
男は名を上げるために戦に参加した。
しかし、男がいた軍は負けてしまい、男は落ち武者となってしまった。
敵に追われながらも、男は命からがらある小さな村へと到着する。
追い出されるかと思ったが、村人は男を歓迎した。
なけなしの食べ物を男に分け与え、寝るための部屋と布団まで用意してくれる。
男はどうしてそこまでしてくれるのかと尋ねた。
すると村人たちは「あなたのおかげで私たちは生きていけるのですから」と答える。
男は必ず村人たちに恩返しをしようと思いながら、眠りについた。
終わり。
■解説
村人たちは男が身に着けている鎧や刀を奪って生活費にするつもりだった。
つまり、この後、男は村人たちに殺されてしまう。
お化け屋敷
久しぶりに友達とお化け屋敷に行った。
その友達はイタズラ好きだから、途中で絶対、何かしてくると思っていた。
案の定、友達は途中で後ろから私の両肩をガッと掴んで、「わっ!」と言って驚かせてきた。
私は警戒していたおかげで、絶叫するほどじゃなかったけど、やっぱり怖いものは怖かった。
振り向くと友達は私の驚く顔を撮るためにスマホを構えている。
友達は絶叫しなかった私に、面白くないなーと呟いた。
危ない危ない。
警戒しておいてよかった。
終わり。
■解説
語り部は両肩をつかまれている。
しかし、友人はスマホで撮影しようとしていた。
つまり、片方の手はスマホを持っていたことになる。
では、語り部の肩のもう一方を掴んでいたのは誰だったのだろうか。
ととのう
健康診断で引っかかった。
血糖値が高くて、糖尿病ギリギリだそうだ。
医者からは運動するように言われた。
でも俺は運動は嫌いだ。
だから、サウナに通うことにした。
俺はほとんど客がいないところを見つけた。
貸し切り状態だから、何をしても見つからない。
だから俺は持ってきていた氷を水風呂に入れておく。
ギリギリまでサウナに入って、キンキンに冷えた水風呂に入れば、きっと気持ちいいはずだ。
俺は40分サウナに入った。
もう限界だ。
俺はサウナを出てそのまま水風呂に飛び込んだ。
終わり。
■解説
語り部は糖尿病ギリギリの状態ということは脳卒中のリスクが高い。
そんな状態で、サウナからいきなり水風呂に飛び込めばそのまま倒れてしまうかもしれない。
結婚記念日
私は愛する人と12年前に結婚した。
本当に嬉しかった
私にとって彼以上の人はいないし、彼以外の人と結婚は考えられない。
もちろん、結婚記念日は毎年、盛大にやっている。
ロマンチックな場所で食事。
その日は夫婦というより恋人に戻る日だ。
50年後もそんな結婚記念日を送りたいと思っている。
今日は10回目の結婚記念日。
いつもより豪華に過ごしたいな。
終わり。
■解説
12年前に結婚したのに、結婚記念日が10回目というのは変である。
つまり、12年前に結婚した人とは違う人との結婚記念日ということになる。
蜘蛛の巣
僕の家の近くに異世界に続くトンネルというのがある。
短いトンネルで、歩いて3分もかからない。
それで、夜の1時にそのトンネルを通ると異世界に行けるらしい。
あるとき、友達のこうちゃんが僕の家に泊まりに来た時に、異世界に行ってみようということになった。
家を抜け出して、トンネルのところまで行った。
そして、夜の1時にトンネルの中に入る。
中は蜘蛛の巣がいっぱいあって、不気味だった。
蜘蛛の巣を払いのけて進む。
僕は怖かったけど、こうちゃんはズンズンと進んでいく。
トンネルを通り抜けても、特に変わったところはない。
僕たちはがっかりした。
すぐに帰ろうと、またトンネルの中に入る。
そしたら、トンネルにまた蜘蛛の巣が張っていた。
さっきに全部払いのけたのに。
僕が怖がっていると、こうちゃんがこう言った。
蜘蛛の巣は10分くらいで巣を張るらしいぞ。
なんだ。
僕たちが払いのけてから、蜘蛛がまた巣を張ったんだ。
僕はホッとしながら、またトンネルを通った。
終わり。
■解説
トンネルは3分くらいで通り抜けられ、すぐに戻っている。
ということは10分も経っていないことになる。
それで蜘蛛の巣が張っているのはおかしい。
もしかすると語り部たちは異世界へ行くことに成功したのかもしれない。
PV
僕は将来、有名なユーチューバーになるんだ。
だから、今、毎日動画をアップしている。
このことはみんなに隠してる。
だって、恥ずかしいから。
最初は全然、動画が再生されなかったけど、最近は再生回数が増えてきた。
大体、1日、300回くらい。
まだまだ全然だけど、始めてから1ヶ月でこれならいい方だってネットに書いてあった。
よし、これからも頑張るぞ。
今日はお母さんが風邪をひいて看病してるけど、ちゃんと動画はアップした。
でもおかしいな。
今日は再生回数が0のままだ。
終わり。
■解説
1日300回は、母親が再生していた。
語り部はみんなに隠してると言っているが、母親にバレている。