■本編
俺はアニメオタクだ。
学校から帰ったら、寝る間で録画したアニメを消化する。
アニメは俺の全てと言ってもいい。
今日も学校が終わり、帰ってアニメの続きを見ようと思っていたのにクラスのKに捕まった。
Kは学校でも有名な不良で、逆らってボコボコにされた人を何人も見ている。
だから、一度捕まったら終わり。
Kの言うことを何でも聞く羽目になる。
「カラオケ行くぞ」
正直、耳を疑った。
こんな陰キャの俺を誘って、どうしてカラオケなんて行く必要があるんだ?
俺はそう思ったが、その疑問はすぐに解決した。
「俺、アニメ嫌いだからアニソン禁止な」
Kは仲間を5人連れてきていて、順番に歌っていき、アニソンを歌ったら負けで、負けた人がここを奢るというものだ。
アニソン以外のレパートリーをどれくらいもっているかという勝負だけど、俺は逆にアニソンしか知らない。
それはKも知っていることで、結局は俺にカラオケを奢らせて、かつ俺を笑いものにしたいんだろう。
Kが最初に歌い、仲間が歌っていき、ついに俺の番になった。
アニソンしか知らない俺は、どうしようか悩んだ。
そこで、曲のタイトルも曲の雰囲気もアニソンだとわからない曲を選んだ。
そのアニメは全然、ヒットしなかったし、そのアニメのことを知ってる人も少ないほどだ。
そして、俺は歌い始めようとした、その時、Kがこう叫んだ。
「アニソンじゃねーか! はい、お前の負け―!」
Kがゲラゲラ笑う中、その場は凍り付いた。
終わり。
■解説
Kはなぜ、その曲がアニソンだとわかったのか?
つまり、Kはアニメが嫌いと言いながら、実はアニメが好きだったことがわかる。
この後、Kは仲間にそのことでバカにされるかもしれない。