【洒落怖】不在票

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今はネットで買い物するのが主流になっている。
仕事が忙しい俺にとっては、本当にありがたい。

休みの日は、正直、ずっと寝てたい。
買い物のために外に出る時間がもったいない。

その点、ネットなら注文したものを家まで届けてくれる。
寝ていても、インターフォンが鳴れば、起きて受け取るだけだ。

もちろん、飯も全部、ネットで注文する。
家にいても、飯を届けてくれるなんて、本当に便利になったものだ。
昔も、出前をやっている店はあった。
でも、当たり前だけど、出前をやっている店にしか注文ができない。
そうなると、いつも同じような飯ばかりになってしまう。

買いに行くのは面倒だけど、それでも食べるもののバリエーションは欲しい。
だから、届けてくれるサービスのおかげで、いろいろな飯を食べることができる。

とはいえ、受け取るためには家にいないといけないから、受取日は休みの日に集中させる。
だから、今では家にいれば届けてもらえる、というよりは届けてもらうために家から出られない状態になっている。

ただ、このへんは別に不便はしてない。

そして、今日も、寝たり、飯を食ったり、ものを受け取ったりで一日が終わる。
また明日から一週間、仕事漬けの毎日が続く。

最初は気が重かったが、今では慣れてしまった。

次の日、会社に向かおうと家を出て、ドアにカギをかけようとしたときだった。
郵便受けに紙が挟まっているのに気付いた。

見てみると、不在票だった。

きっと、平日に配達にきたんだろう。
仕方ないので、次の休みに再配達を設定した。

だけど、帰ってみたらまた不在票が挟まっていた。
再配達依頼しただろ、と思いながら、もう一度、設定する。

その次の日。
またドアに不在票が挟まっていた。

おかしい。
昨日帰ってきたときに、不在票があって、次の休みの日に再配達の設定をした。
それなのに、昨日の夜から、朝の間に届けにきたことになる。
もちろん、その間、俺は一度も家から出ていない。

深夜に来るなんて非常識だと思うが、チャイムが鳴れば寝ていたとしても起きて受け取ったはずだ。
ということは、チャイムも鳴らさずに、不在票だけおいてったことになる。
なんでこんなことをするのかは不明だけど、なんだか、イライラした。
しかも、その不在票に書いてあるものは、頼んだ覚えがないものだ。

品名のところにはただ「生もの」としか書いてない。
だいたい、忙しくてほとんど家にいないのに、生ものなんて頼まない。

それで、俺は再配達依頼はしないで無視した。

それからは、郵便受けを見るたびに不在票が入っていた。
その頃には腹が立って、入っているたびに捨てていた。

そして、次の休みの日。
次々に注文したものが届き、受け取っていく。

そんな中、配達員から「置き配、届いてるみたいですよ」と言われた。
ドアから顔を出すと、玄関の横に大きな箱が置いてあった。
伝票には「生もの」と書いてあるから、例の不在票のものだろう。

受け取ってくれないから、置き配で勝手に置いていったらしい。
生ものなのに、置き配なんてするなよと思いながら、家の中に入れる。

しかも最悪なことに、生ものなのにチルドじゃない。
常温のままだった。

ただ、変な臭いはしないので、腐ってはいないみたいだ。

箱を開けようと、ガムテープを剥がそうとしたときだった。

「痛い」

箱の中から男の声が聞こえた。

どういうことだ?

箱は両手で抱えられるくらいの大きさだ。
仮にも『人』が入れるほどの大きさじゃない。

そして、今度はゴトゴトと箱が揺れる。
中で、何かが動いている。

もう一度「痛い」という声が聞こえてきた。

俺は怖くなって、箱を開けることができなかった。

そして、箱が届いてから1ヵ月が経った今でも、箱の中から時々、「痛い」という声が聞こえて、ガタガタと震える。