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本編
呪いのビデオの後に、呪われているホラーゲームというのが流行ったのは知ってる?
ゲーム内に出てくる心霊写真が本物のものを使われていただとか、ゲーム内であった事件が現実でもあったとか、そんな都市伝説っぽい感じ。
中には、あるキャラのセリフを縦読みすると「はやくたすけにきて」とかもあったよね。
凄い懐かしいなぁ。
今回の話は、画面に文字が出る系のやつ。
有名なのは「はやくけせ」ってやつかな。
あれも話題になったよね。
ちょっと前置きが長くなっちゃった。
本題に入るね。
2ヶ月前くらいかな。
友達がさ、小学校の頃に流行った呪いのゲームを見つけたってはしゃいでさ、大学に持ってきたんだよね。
これはどこかの会社が作ったんじゃなくて、個人で作ったインディーズゲームだから知らないかもね。
多分、俺らの学校だけで噂になってたと思う。
ネットにも出てこないからさ。
で、そのゲームなんだけど、ファミコンなんだよね。
まあ、俺らからしたらファミコン世代じゃないから懐かしいって感じはしないんだけど。
完全にレトロゲームだよね。
それで友達が、ファミコンの本体を持ってない言うからさ、うちでやろうってことになったんだよ。
うちの親父が持ってて、まだ家にあるから。
それで昨日、さっそくやってみたんだよね。
その、呪いのホラーゲーム。
最初はさ、雰囲気あるな―って思ってやってたんだけどさ、結局はファミコンでしょ?
クォリティが低くて、全然、怖くなくなってきちゃって。
ゲームの内容は選択肢を選んで進んでいくタイプのやつ。
背景とかキャラクターもしょぼくてさ、まさに個人で作った感が満載だったよ。
でもさ、いきなり音楽がピタッと止まったんだ。
さっきまではなんかオドロオドロシイBGMが流れてたんだけど、ピタッと、無音になったの。
なんだろうね。
いきなり音が鳴るとかよりも、よっぽど怖かったよ。
ああいう風に使われると、無音って怖くなるんだね。
でさ、いきなり画面が真っ暗になったと思ったら、いきなり画面に「でんげんをきれ」って出たんだ。
いつもならさ、「はいはい。ありがちありがち」って馬鹿にするところなんだけど、なんていうか、空気が違ったんだよね。
咄嗟にさ、「あ、これ本物だ」って思ったんだ。
直感ってやつだね。
だから、すぐに電源を消したんだ。
そしたら画面に「やーい。ひっかかった」って出たんだ。
それ見て、友達と大爆笑。
見事にやられたよ。
うーん、上手い! って思ったね。
さすが、昔に話題になったゲームだよ。
……って、あー、しまった。
ネタバラシしないで、君に貸せばよかったね。
ごめんごめん。
終わり。
■解説
ファミコンで電源を切ったのに、画面に文字が出るのはおかしい。
つまり、その呪いのゲームは本物だということになる。
もしかすると、語り部とその友達は呪われてしまっているのかもしれない。

