本編
男は救命救急センターの医師をやっている。
毎日、大勢の患者が運び込まれ、いつもその対応に追われていた。
そんな中、1週間に一度の頻度でリストカットをして運び込まれる少女がいる。
男がどうしてこんなことをするのか問いかけると死にたいからと答える少女。
男はそんな自傷行為を続ける少女に対し、疲れていることもあり、苛立ちが募っていった。
あるとき、男は少女にリストカットではなかなか死ねない、だからリストカットなんかやめるんだと言ってしまった。
男がそう言ってから、少女が救命救急センターに運ばれることは二度となかった。
男は10年経った今でもそのことを後悔しながら、患者を助け続けている。
終わり。
■解説
リストカットでは死ねないと言われた少女は、もっと確実な方法で自殺をした。
それを知って男は後悔しているというわけである。