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本編
高橋が行方不明になってから、3日が経った。
そして、後を追うように佐藤もいなくなった。
警察に連絡しようか迷っていると、高橋が戻ってきた。
どこに行っていたか聞いてみると、呪いの井戸に落ちたと言った。
さらに佐藤も同じように呪いの井戸に落ちたようで、助けたいなら行ってみるといいと言われた。
高橋が言っていた場所には確かに古い井戸があった。
のぞき込んでみると、全然深くない井戸の中で、佐藤が座り込んでいた。
声をかけると、佐藤は笑顔になり、登るから手を貸してくれと言ってきた。
俺は迷わず、佐藤に手を差し伸べた。
終わり。
■解説
なぜ、高橋は佐藤が井戸に落ちていることを知っているのに、助けなかったのか。
そして、浅い井戸なのに、なぜ佐藤は自力で出ようとしなかったのか。
それは誰か1人が井戸の中に落ちないと、他の人間は出られない呪いだったからである。
つまり、この後、語り部は佐藤によって井戸の中に引きづりこまれることになる。