1周忌

意味が分かると怖い話

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本編

あいつは登山が好きだった。
だからあいつの20歳の誕生日に登山に行こうって話になった。
 
当日、あいつと2人で登山に行った。
結構、険しい山であんまり人がいないような山。
 
そして俺たちは地滑りに遭った。
あいつは俺をかばったせいで、滑落して行方不明になってしまった。
 
それから3ヶ月後。
あいつの死体が発見された。
 
滑落したせいで遺体はかなり損傷してたらしい。
 
今日はあいつが死んでからちょうど1年。
あいつは酒を飲むのをずっと楽しみにしていた。
 
せめて、あと1日長く生きてくれていれば、念願の酒が飲めたのに。

せめてあの世で飲んでくれ。
そう願って、俺はあいつの墓に酒をかけた。
 
終わり。

■解説

20歳の誕生日に登山したのなら、もうお酒は飲めるはず。
それなのに、あと1日長く生きていれば飲めた、というのは変である。
つまり、あいつは誕生日の前日に死んでいた。
語り部は登山の前日にあいつを殺し、山に遺棄したのである。