呪いの迷路

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本編

廃園になった遊園地の中に、巨大迷路というアトラクションがあった。
その迷路は本格的で、大人でもゴールできるまで1時間以上はかかるというものだった。
 
最初こそはその難しさが珍しく、多くの客が訪れていたが、1年も経つと逆に敬遠するものも多くなった。
子供連れやカップルなんかは、時間がかかり過ぎるので挑戦しづらいし、かといって1人で挑戦するという客も少なくなった。
 
そんなあるとき、遊園地の係員は確認を怠ったせいで、客を迷路の中に取り残したまま帰ってしまい、そのせいで中の客が脱水症状で死亡するという事故が起きた。
 
このことで元々経営的に遊園地の経営者は廃園にすることを決める。
 
人が亡くなったことと、巨大迷路が組み合わさり、この迷路はいつしか『呪いの迷路』と呼ばれるようになった。
夜の12時を過ぎてから迷路に入った人間は朝までに出られなかった場合、呪われて死んでしまうのだという。
 
その噂を聞きつけて、検証するために何人かが12時以降に迷路に入り、朝まで迷路の中で過ごした。
すると、偶然なのか、その全員が病気や事故で亡くなってしまう。
 
それが噂に拍車をかけ、呪いの迷路は心霊スポットとして有名になった。
 
ある男はその話を聞き、友達と一緒に呪いの迷路に、遊び半分で入ってしまう。
相当、酒を飲んだ後だったため、男はふらつき、友達とも逸れてしまった。
 
徐々に酔いが覚めてくると、男は慌て出す。
早くゴールに行かなければ、と。
 
完全に道を見失っていた男は半分泣きながらも、必死に迷路を進む。
 
そして、なんとかゴールの扉が見えてきた。
よかった。ゴールできた。
 
男は小走りで扉に向かう。
すると、向こうから扉が開き、誰かが入ってきた。
 
男は一瞬、友達が心配して戻ってきてくれたのかと思った。
だが、予想は外れ、赤の他人だった。
 
その人たちとすれ違いながら、男は扉を開けて外に出た。
 
終わり。

■解説

語り部がすれ違ったのは、同じく噂を聞きつけてやってきた人間だと考えられる。
その人間がゴールからスタートするとは思えない。
つまり、語り部はゴールからではなく、スタートから外に出たのでゴールできていないことになる。
男はゴールできなかったので呪われてしまう可能性が高い。

 

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