意味が分かると怖い話 解説付き Part531~540

意味が分かると怖い話

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人面犬

その町では人面犬が出るという都市伝説があった。
 
その人面犬は、行方不明になり、死んでしまった人の顔で現れるのだという。
 
なので、町ではその人面犬は恐れられ、死を告げにくる不吉な存在とされていた。
 
そんなある日、町で1人の男が行方不明となった。
その男は1ヶ月後に森の中で死体となって見つかった。
 
そして、その男の死因は狂犬病だった。
 
さらに男の家からは大量の顔の顔を剥がされた死体が見つかる。
 
その日以降、人面犬が出たという話は聞かなくなった。
 
終わり。

■解説

男が人を殺し、その顔の皮を犬にかぶせていた。

 

鏡の向こう

少年は不思議な鏡を手に入れた。
 
その鏡は自分の傷を鏡に写った自分に移すことができるというものだ。
 
少年は普段から注意力散漫で生傷が絶えなかったため、喜んで使っていた。
 
そんなある日。
少年は定期を使って駅の改札を通る際に、勢いが余って自動改札機に思い切り、手を叩きつけてしまった。
 
そのせいで、小指を強打してしまい、内出血で青黒くなってしまう。
 
次の日。
少年は友達に、左手の小指が内出血で青黒くなっていることを尋ねられた。
 
「不注意でぶつけちゃって」
 
少年はそう言って、照れくさそうに笑った。
 
終わり。

■解説

駅の自動改札機は『右側』にあるはず。
では、なぜ、少年は『左手』の小指に内出血があるのか。
また、なぜ、いつも傷を鏡の中の自分に移していたのに、今回は移していないのか。
もしかすると、少年と鏡の中の少年が入れ替わってしまったのかもしれない。

 

頭痛

男は頭痛に悩まされていた。
最初は軽い頭痛だったが、次第に悪化し、男の苦しみは増すばかりだった。
医者に相談しても原因が分からず、薬も効果は得られない。
 
そんなある日。
男は頭痛の苦しさの苛立ちと、絶望のあまり、自分の頭を叩いてしまった。
 
すると不思議なことに、男の頭痛は止んだ。
 
とはいえ、頭痛が止むのも一時のことで、またすぐに頭痛が襲ってくる。
 
男は再び、頭を強く叩く。
すると、また頭痛が治まっていく。
 
次第に、男は頭痛が始まると、自分の頭を叩くことが習慣になっていった。
そして、叩く強さが大きければ大きいほど、長く頭痛が治まることに気づく。
 
そんなことを続けていると、今度は頭痛の方の強さが大きくなってきた。
 
そこで、男は思い切ってバットで自分の頭を叩いた。
 
そのことで男の頭痛はピタリと止み、頭痛に悩まされることはなくなったのだった。
 
終わり。

■解説

男はバットで自分の頭を強く叩き過ぎ、それにより死んでしまった。
そのため、頭痛に悩まされることがなくなった。

 

泥棒

男は昼間にある豪邸に泥棒に入った。
 
家の中を物色していると、若い女性が家に入って来た。
男は慌てて逃げようとしたが、女性が「弟の友達?」と聞いて来たので、男はその場を取り繕うために「そうです」と言って話を合わせた。
 
すると、女性は「ごゆっくり」と言って、家を出て行った。
 
男はホッとして、再び家の中を物色する。
それから数分後。
家の周りに警察が集まり、男は捕まってしまった。
 
男は、女性が自分の嘘を見抜いて、警察に通報したのだろうと思い、すぐに逃げなかったことを後悔した。
 
その後、この豪邸に住む一人暮らしの老人から、宝石が盗まれたと被害届が出された。
 
終わり。

■解説

男は物色の途中で警察に捕まっているので、何も盗めていないはずである。
また、その豪邸は老人が一人で暮らしていると言っている。
では、現れた女性は何者だったのか?
それは女性も泥棒で、男が捕まり、連れて行かれている隙に盗みに入ったのである。

 

石鹸

その少女はずっと無宗教であったが、事故に巻き込まれてしまい、その怪我がきっかけにキリスト教徒になった。
 
少女はすぐに敬虔なクリスチャンになった。
しかし、少女はキリストの教えを知ることで、絶望する。
 
それは、今まで自分が犯してきた罪を認識したからである。
 
罪深い自分を許して欲しいと、神に祈り続ける少女。
 
だが、そんなとき、不思議な石鹸に出会う。
 
その石鹸で体を洗えば、今まで犯してきた罪が1つずつ消えるというものだった。
 
不思議なことに、罪自体が、『無かったこと』になった。
出来心で万引きして捕まったことも、無かったことになっていた。
 
少女はこの石鹸を与えてくれた神に感謝し、自分の罪が全て消えるまで体を洗い続けた。
 
そして、石鹸が無くなる頃、少女自身も消えてしまった。
 
終わり。

■解説

キリスト教では全ての人には生まれながらにして罪があるとされている。
そのため、少女自身が『無かった』ことになってしまった。

 

ビーチサンダル

その海岸には呪われたビーチサンダルがあるという噂があった。
そのビーチサンダルをはくと、海で溺れてしまうというものだ。
 
そんな噂を聞きつけてか、あるユーチューバーが呪われたビーチサンダルを探しに来る。
そして、浜辺を歩き回り、噂に聞いた通りのビーチサンダルを見つけた。
 
さっそく、そのビーチサンダルを履いてみる、ユーチューバー。
すると、そのビーチサンダルが足から外れなくなってしまう。
 
それを面白おかしく動画に撮るユーチューバー。
だが、視聴者から、ヤラセだろと言われてしまう。
 
確かに、足から外れなくなったことが演技なのかは本人にしかわからない。
 
そこで、ユーチューバーは海で泳ぐことにした。
 
噂では溺れると聞いていたので、それを検証するという流れだ。
 
海に入っていくユーチューバー。
 
最初は演技で足が取られるなどと言っていたが、次第に、ビーチサンダルが重くなっていく感覚がする。
 
ユーチューバーは慌て、海から出ようとするが、ビーチサンダルが鉛のように重く、上手く出られない。
 
必死に助けを呼ぶユーチューバー。
 
すると地元の人間が駆けつけてきた。
地元の人間はすぐにそのユーチューバーが呪われたビーチサンダルを履いていることに気づく。
予想通り、どうやってもビーチサンダルは足から外れない。
 
そこで、たくさんの人数の応援を呼び、なんとかユーチューバーを海から出すことに成功した。
 
ビーチサンダルは海の底へと沈んだが、再び、浜辺に流れ着くかもしれない。
面白半分で、呪われたビーチサンダルを履くことはお勧めしない。
 
終わり。

■解説

ビーチサンダルはどうやっても足から外せない。
それなのに、ユーチューバーは海から出ていて、ビーチサンダルは海の底に沈んでいる。
つまり、ユーチューバーは足を切断することで、なんとか溺れずに済み、海から出られたということである。

 

消しゴム

その男の子は身体が小さく、勉強もできないことからクラスでよくからかわれていた。
からかってくるのはクラス委員で、その男の子にとっては嫌いな存在だった。
 
その男の子は毎日、学校に行くのが嫌で仕方なかった。
 
そんなある日。
 
ある雑貨店で、『存在を消す消しゴム』というものを見つけた。
お店の人に聞くと、その消しゴムで写真をこすると、存在が消えるというものだった。
 
説明を受けたがよくわからなかった男の子は、それでもその消しゴムを買って帰った。
 
さっそく、あのクラス委員が写っている写真を出して、クラス委員の部分を消しゴムで擦った。
 
次の日。
男の子は期待して学校に行ったが、クラス委員は消えていなかった。
 
男の子はがっかりしたが、その日からクラス委員は男の子をからかわなくなった。
 
男の子はこの消しゴムは嫌なことを消す、消しゴムなんだと思った。
 
それからは先生に怒られれば先生を、注意してくるクラスメイトがいればそのクラスメイトを、そして、うるさい両親も消しゴムで擦った。
 
そして、気づけば、男の子は誰からも何も言われなくなった。
 
終わり。

■解説

その消しゴムは、擦った写真の人物から、『自分の存在を消す』ものだった。
つまり、男の子は周りの誰からも認識されない存在になってしまった。

 

千羽鶴

少女はあるときから、ずっとイジメられていた。
それは陰湿な虐めで、教師さえも気づかない、もしくは見て見ぬフリをされていた。
 
登校拒否も考えたが、両親が無理やり少女を学校へと行かせた。
 
絶望する少女。
 
だが、そんなある日、少女は千羽鶴を折ると願いが叶うという話を聞いた。
 
少女は藁にも縋る思いで、イジメから解放されることを祈りながら鶴を折り続けた。
 
そして、ちょうど千羽を折ったときだった。
千羽鶴から火の手が上がり、少女の家は火事になった。
 
同時に、少女の願いは叶えられたのだった。
 
終わり。

■解説

少女は火事に巻き込まれて死んでしまった。
これにより、少女はイジメから解放された。

 

町の古い時計台

その町には古い時計台があった。
その時計台の時計はすでに動いておらず、長い間、ずっとその状態だった。
 
そんなある日。
ある少年が、なぜ、その古い時計台を壊さないのかと疑問に思い、町の人たちに聞いて回った。
 
すると、そのほとんどの人が口を揃えて、壊すなんてとんでもない、どんな災いがあるかわかったものじゃないと答えた。
 
なぜ、町の人たちがその時計台を怖がるのか不思議に思う少年。
 
すると、突然、町の中である男が見つかった。
男は12年間行方不明になっていて、しかも、その12年間のことの記憶がないのだという。
 
ただ、男は答えた。
自分はあの古い時計台に興味を持って入っていったのだと。
それ以降の記憶がなく、気づいたら町の中にいたのだという。
 
その話を聞いて、少年はますます時計台に興味を持つ。
 
そして、周りの制止を振り切るように、深夜に時計台へと一人向かう少年。
 
階段を上って時計室に到着する。
時計室には古びた時計機構があり、針がしっかりと動いていた。
しかし、奇妙なことに、それぞれの数字の代わりに、人々の顔が描かれた小さなプレートがあった。
少年は興味津々で時計の仕組みを観察していると、なんとそこに自分の顔が描かれたプレートがあることに気づく。
 
少年はそれ見て、全てを悟り、すぐに逃げようとした。
しかし、それと同時に時計が止まり、針が少年の顔を指す。
 
その日以降、町で少年を見たという者はいなくなった。
 
終わり。

■解説

その時計台は時間が止まった者の魂を封じる呪いの時計台だった。
12年ごとに解放され、また新しい人間が時計台によって封じ込まれる。
少年はこの時計台に封じ込められ、再び出ることができるのは12年後となる。

 

おじいさんの家

町の外れに、盆栽が趣味の一人の老人が住んでいた。
その老人は妻にも先立たれ、子供もいなかったので一人で生活するしかなかった。
 
周りからは、もう90歳になったのだから、施設にでも入った方がいいと言われていたが、まだまだ一人で生活できると、断固拒否をしている。
 
そんな老人は、健康を保つために毎日、スーパーに買い物に行くことにしていた。
 
しかし、時々、老人は迷って自分の家に帰れなくなることがあった。
 
だが、そんなときは近くの人に「6丁目の大きな樫の木の場所を教えて欲しい」と言えば、すぐに場所を案内してもらえた。
 
その場所までくれば、家まで帰れるので、迷ったら必ずそう言って周りの人に聞くことにしていた。
 
そんなある日。
老人はその日も迷って、帰れなくなってしまった。
 
そこでその辺りを歩いていた若い、大学生風の青年に樫の木の場所を聞いた。
 
するとその青年は不思議そうな顔をして、「6丁目には樫の木なんてない」と言い出したのだ。
 
それを聞いて、老人は混乱した。
そして、こう考えた。
 
自分はもう既に死んでいて、幽霊となってさ迷っていたのではないか、と。
 
老人は家に帰るのを諦め、どこかに行ってしまった。
 
数年後。
誰もいなくなった老人の家は取り壊されるようになった。
 
そのとき、老人が育てていた立派な盆栽は世話をしていなかったにも関わらず、枯れずに庭に聳え立っていた。
 
終わり。

■解説

老人は認知症で盆栽を樫の木だと思い込んでいた。
その老人のことを知っている人間は、そのことを知っているため、老人の家の場所を教えていた。
だが、青年はその老人のことを知らなかったため、樫の木なんてないと言ってしまったのだった。

 

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