本編
最近、僕は魚にハマっている。
食べることじゃなく、飼う方だ。
誕生日プレゼントで水槽も買ってもらった。
本当は熱帯魚を飼いたかったけど、お母さんがまだ早いって言って、買ってくれなかった。
でも買ってくれなかったのは、熱帯魚用の水槽は高いからだと思う。
しょうがないから金魚を飼うことにした。
お祭りの金魚すくいで取ったやつだ。
でも、たった2匹しか取れなかった。
結構、大きい水槽なのに金魚2匹しかいない。
なんだか寂しい。
だから僕は近くの小川に行ってメダカを取ることにした。
網を持って、川をさらったんだけど、そこでもあんまり取れなかった。
取れたのは全部で小さいのが4匹。
それでもいないよりはいい。
僕はさっそく、持って帰って水槽に入れた。
金魚2匹とメダカ4匹。
まだ水槽には空きスペースが多いけど、まあ、いいや。
今度はなんか違う魚を取ってこよう。
次の日。
友達のカンちゃんが家に遊びに来た。
せっかくだから、カンちゃんに僕の水槽を見せて自慢した。
そしたらカンちゃんは慌ててこう言った。
「ダメだよ。メダカと金魚を一緒に飼ったら」
「え? なんで?」
「金魚は小さいメダカを食べちゃうんだよ」
僕は慌ててメダカを取り出した。
仕方ないから虫かごに水を入れて、その中に入れる。
「カンちゃん、メダカ、どうしよう?」
「川に放してくるしかないんじゃないか?」
「えー、でも、せっかくとったのに」
そのときだった。
メダカが急にメダカの赤ちゃんを産んだ。
可愛いメダカの赤ちゃんがぎこちなく泳いでいる。
このまま川に流したら死んじゃうんじゃないだろうか。
そこで、僕はもう少し大きくなるまで虫かごの中でメダカを飼うことにした。
終わり。
■解説
メダカは卵を産むはずである。
しかし、稚魚を生んでいる。
このことから、これはメダカではなく、メダカによく似た「カダヤシ」だと思われる。
そして、カダヤシは特定外来生物に指定され所持や運搬、放流等が禁止されている。
メダカと間違えて飼育してしまうと罪に問われてしまう。
見つかってしまえば、両親が罰金を払うことになるはずである。
そうなると、語り部は二度と魚を飼うことを禁止されてしまうだろう。