ケチャップ

意味が分かると怖い話

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本編

僕の妹はケチャップが好きだ。
なんにでもかけて食べる。
卵焼きはもちろん、サラダやお味噌汁なんかにも入れて飲んでいる。
 
最初はお父さんやお母さんが止めるように言ったけど、妹は全然やめることはなかった。
それどころか、夜にこっそりと起きて、冷蔵庫からケチャップを取り出して吸うくらいだ。
 
マヨネーズなんかは、よく聞くけど、ケチャップはあんまり聞かない。
 
あるとき、僕は妹に、なんでそんなにケチャップが好きなんだと聞いた。
すると妹は口を尖らせて、こう言った。
 
「ケチャップはしょっぱすぎるからあんまり好きじゃないんだ。でも、しょうがないからケチャップで我慢してるんだよ」
 
僕は正直、妹が何を言っているかわからなかった。
 
そんなある日。
僕と妹が一緒に学校に行っているときだった。
いつも見かける野良猫が、珍しく腹を上にして寝ていた。
 
僕は今度こそ撫ぜられるかもしれないと思って、猫の腹を触った。
すると、猫はビックリしたのか、飛び起きて、僕の手を引っ掻いた。
 
思ったよりも深く引っ掛かれたせいで、僕の手からは血が出てきた。
それを見ていた妹が心配そうに僕の顔を見てくる。
 
僕は妹を心配させないように、「ケチャップだよ、ケチャップ」という冗談を言った。
すると、妹は笑って、僕の手の血をペロリと舐めてくれた。
そのおかげで、なんだか痛みも和らいでくる。
 
学校についたら、僕はすぐに保健室に行って傷の処置をしてもらった。
 
そして、不思議なことに妹はそれからケチャップを舐めることはなくなった。
お父さんやお母さんも喜んでいる。
もちろん、僕もだ。
 
でも、そういえば最近、あの猫の姿を見なくなったな。
 
終わり。

■解説

語り部の妹はケチャップはしょっぱいから、あまり好きではないような発言をしている。
我慢して舐めているということから、そもそも、ケチャップに固執しているわけではなかった。
それは「なにか」の代わりにケチャップを舐めていたのだと考えられる。
なので、その「なにか」があればケチャップは舐めないようになったということである。
そのきっかけは、語り部の「血」である。
そして、最近、猫の姿を見ないと言っている。
もしかすると、語り部の妹はケチャップの代わりに、猫の血を舐めているのかもしれない。

 

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