灯台の光

意味が分かると怖い話

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■本編

男は漁師で、一人で海に出ていた。
 
だが、不運にも嵐に巻き込まれてしまい、遭難してしまう。
 
船が沈まなかったのは不幸中の幸いだったが、海の真っただ中で方向を見失ってしまっていた。
漂流して海をさ迷い続ける中で、ついに食料も尽きてしまう。
 
まだ燃料は残っているが、陸地がどの方向にあるかわからない状態では無暗に進むわけにもいかない。
 
万事休すか、と男は死を覚悟した。
 
だが、そんなときだった。
男の視界の端に丸い光が見えた。
 
あれは灯台の光だ。
 
男はすぐにその光の方へ向けて船を進めた。
祈りながら進み始めて2日が経過した。
 
するとついに、陸地を見つけることができた。
 
男はすぐに上陸し、灯台を探す。
 
3時間ほど歩くと、灯台が見つかった。
 
すぐにドアを叩くと、中から老人が出てくる。
事情を話すと、老人は灯台の中に招いてくれた。
 
久しぶりの食料と水を貰い、男は生き返った気持ちになった。
 
そんな男を見ながら、老人はニコリと笑う。
 
「あんた、運が良かったねぇ」
「どうしてですか?」
「いや、この灯台は今では使われていなくて、今日はたまたま、海を見ながら酒を飲みたくて、火を入れたんだよ」
 
男は老人の話を聞いて、自分の幸運に感謝した。
 
終わり。

■解説

灯台の光が見えたのは2日前。
そして、老人は今日はたまたまた火を入れたと言っている。
では、2日前に男が見た光は灯台の光ではないということになる。
男は一体、なんの光を見たのだろうか。

 

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