■本編
俺は大学の夏休みを利用して、自転車で四国を旅行することにした。
もちろん、宿には泊まらず、お金をかけずに旅をするつもりだった。
だけど、俺は野宿がどれだけ大変か、わかってなかったのだ。
初日に公園のベンチで寝てみたのだが、身体は痛いし、疲れは取れないし、虫にも刺されて最悪だった。
だから、2日目からは格安の宿を探した。
すると、偶然、2000円で泊まれる宿を見つけた。
宿の人に話を聞いてみたところ、こんな観光シーズンでも、その部屋だけは埋まらないらしい。
きっと何かがあるんだろう。
その宿の人は新人で、詳しいことはわからないらしい。
その話を聞いて、俺は少し戸惑ったけれど、外で寝るよりはマシと考えて泊まることにした。
どんなにぼろい部屋なのかと覚悟していたが、部屋に入ってみると、別段変わったところはない。
ただ、この部屋は何というか、妙に蒸し暑い。
そこでエアコンを入れようと、リモコンを探してみる。
すると、そのリモコンに、妙なことが書かれた紙が貼ってあった。
「エアコンを使わなくても、涼しくなります」
何を言っているのかわからない。
現に、この部屋は暑いのだ。
もしかしたら、壊れているのかと思い、電源を入れてみる。
すると、普通にエアコンは動き出し、冷風が出てきた。
今夜は快適に眠れそうだ。
俺はエアコンの温度を少し高めにして寝ることにした。
次の日の朝。
俺は一睡もできず、フロントの人がやってきたのを見計らって、すぐにチェックアウトした。
確かに、あの紙に書いてあった通り、エアコンが無くても涼しくなれた。
俺は旅行を取りやめにして、帰ることにした。
そうだ。
家に帰る前にお寺に寄っていこう。
終わり。
■解説
その旅館の部屋には幽霊が出る。
そのため、エアコンが無くても涼しくなると書かれていた。