■本編
近所にワニを買っている家がある。
なんの仕事をしているのかわからないが、家はかなりの豪邸で庭も物凄く広い。
そんな大きな豪邸に、中年の男が一人で住んでいるのだ。
しかも、不愛想で他人と関わらろうとしない。
その上、ワニなんて狂暴な動物を飼っているのだから、近所でもその家は嫌われている。
そんな状態からか、その家に関わる黒い噂もある。
その家のワニが、良からぬ組織が殺した人間を食べて証拠隠滅を図っているというものだ。
現に、その家にガラの悪そうな人が入って行くの見たり、深夜に車が入っていくのを見たりしているという話もよく聞く。
とはいえ、そんな漫画みたいなことが現実にあるわけなんてないだろう。
こっちとしては飼っているワニが逃げ出さないことを祈るだけだ。
なんて考えていると、ワニではなく、飼い主の男の方が逃げたそうだ。
家はもちろん、お金など、何もかも捨てて夜逃げしたらしい。
こんな豪邸を捨てるなんて、金持ちの考えることはわからない。
終わり。
■解説
夜逃げするにしてもお金は必要なはずである。
それを残して逃げるのは違和感がある。
飼い主の男は良からぬ組織によって、口封じにワニに食べられたのかもしれない。