■本編
その子は物凄いおじいちゃん子だった。
おじいちゃんが大好きで大好きで、いつもおじいちゃんと一緒に過ごしていた。
だが、そのおじいちゃんは、ある日、永眠してしまう。
それは老衰だった。
おじいちゃんは90歳ということもあり、周りは大往生だとあまり悲しんでいなかった。
だが、その子だけは違った。
おじいちゃんが亡くなった日は、周りが引き剥がそうとしても必死で抵抗した。
周りはその子に、「そんなに泣いてばかりいたら、おじいちゃんが心配する。だから、ちゃんと見送ってあげよう」と言って説得した。
それでもその子はおじいちゃんに会いたいと泣き続ける。
しかし、おじいちゃんの葬儀は進んでいく。
そして、周りはおじいちゃんの棺に、チョコレートやバナナ、肌着を入れていく。
その子はその光景に首を傾げる。
なんで、そんな物を入れるのか、と。
すると周りは答える。
「こうすれば、あっちでおじいちゃんが食べたり、使えたりするんだよ」と。
その子はなるほど、と頷いた。
そして、葬儀が終わる。
同時に、その子の姿がどこにも見当たらなくなった。
終わり。
■解説
その子は棺に入れば、おじいちゃんに会えると思ってしまった。