親友

意味が分かると怖い話

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:アイドルのプロデューサー〉  〈次の話へ:犬派〉

■本編

俺には小学校からずっと付き合いのある親友がいる。
あいつとはなんでも話し合える仲で、テストの成績や部活での悩み事、恋愛に関してもよく相談していた。
相談するたび、あいつは嫌な顔一つ見せず、ちゃんと真剣に相談に乗ってくれる。
 
俺にとってあいつは唯一無二の大親友といったところだろう。
 
今、付き合っている彼女だって、あいつの協力がなかったら絶対に付き合うことができなかったはずだ。
あいつには感謝してもしきれない。
 
それなのに俺は、彼女と些細なことがきっかけで、大ゲンカをしてしまった。
今までにないほど激しい大ゲンカだ。
もう修復不可能な状態だ。
彼女のことはあんなに好きだったのに、どうしてあんなことで怒ってしまったのか。
今考えてみてもわからない。
 
俺は後悔した。
でも、後悔したところで彼女は戻っては来ない。
もう、どうしたらいいかわからない。
 
こういうときはあいつに相談することしかできない。
俺は悪いとは思ったが、あいつに電話をしてすぐに家に来てもらった。
 
あいつは俺の話を、途中で口を挟まずに最後まで静かに聞いてくれた。
話を聞き終わると、あいつはわかったと静かに頷いた。
 
「全部、俺に任せておけ」
 
あいつはそういうとポケットから携帯を取り出して、電話を掛け始めた。
 
ああ…。ダメだ。
あいつは俺を裏切るつもりだ。
 
俺は電話をしているあいつを、後ろから血の付いた包丁で刺し殺した。
 
終わり。

■解説

語り部はつい、カッとなって彼女を殺してしまっている。
「修復不可能」というのは彼女の体のことで、「戻ってこない」というのは死んでいるからである。
親友は話を聞いて、警察に連絡した。
それを見た語り部は「彼女を殺した包丁」で親友を刺殺したのである。

 

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:アイドルのプロデューサー〉  〈次の話へ:犬派〉