お化け屋敷

意味が分かると怖い話

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■本編

俺には今、付き合い始めた彼女がいる。
付き合い始めたと言っても、もう3ヶ月になる。
 
でも、なにも進展がない。
毎週デートとかもしてるのに、手も繋げていない。
 
周りからは小学生か?と煽られたりもする。
 
悔しいけど俺だってそう思う。
中学生だって、もっと進んでるはずだ。
 
だからといって強引に行くわけにはいかない。
だって、彼女は長年誘い続けて、ようやく付き合うところまでこぎ着けたんだから。
嫌われたくない。
でも、このままというのも、耐えられない。
 
そこで俺は友達の助言も得て、ある作戦を立てた。
 
お化け屋敷。
 
暗い中、2人で進む。
怖いという状況がつり橋効果を得られるし、何より自然と手を繋げる。
もしかしたら、抱き着かれることだってあるかもしれない。
 
一度、そうなれば、次は自然と手を繋げたり、抱きしめたりできるようになる。
友達はそう言っていた。
だから、俺は彼女と一緒にお化け屋敷に行くことにしたのだ。
 
本当は心霊スポットとかにしようと思ったのだが、彼女は霊感が高いらしくて、そういう場所は嫌がられたのだ。
 
そして、当日。
彼女と一緒に錆びれた遊園地にあるお化け屋敷に入った。
 
入った瞬間、彼女は俺の腕に抱き着いてきた。
すぐに出ようと言ってくる。
本当に、怖がっているようだ。
 
これは効果がありそうだ。
俺は「一回入っちゃったから、戻れないよ」と説得しつつ、ゆっくりと進む。
彼女はドンドン俺に密着してくる。
 
最高だ。
なんなら、1時間くらいここにいたいくらいだ。
 
そのとき、彼女は大きな悲鳴を上げた。
少しびっくりしたけど、彼女の悲鳴も初めて聞いたから、何となく新鮮だった。
 
俺は気を紛らわせるように「ビビり過ぎだって。大丈夫。俺がいるんだからさ」と言ってあげた。
 
すると彼女は怖がっていたことを恥ずかしく思ったのか、悲鳴を上げなくなった。
密着もしなくなり、ただ、手を繋いで歩くだけになってしまった。
 
しまった。
落ち着かれてしまった。
もう少し怖がって欲しかったんだけど。
 
でも、大丈夫。
彼女は無理をしているだけだ。
 
なぜなら、彼女の手は緊張と怖さで冷たくなっているからだ。
 
終わり。

■解説

悲鳴を上げてから、彼女は幽霊と入れ替わったか、とり憑かれてしまった。

 

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