テレワーク

意味が分かると怖い話

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:マタギ〉  〈次の話へ:マタギ〉

本編

夫がテレワークになった。
 
なんでこのタイミングかと聞いてみると、前々から話が上がっていて、ようやく上層部が折れてテレワークが開始されたということらしい。
社員のほとんどがテレワークになり、総務の夫も無事にテレワークになったのだそうだ。
 
夫はテレワークが始まる前は逆に家にほとんどいない状態が続いていた。
朝早く出て行って、終電で帰ってくるという毎日で、体を壊さないか心配だった。
 
それがテレワークになると、ずっと家にいるという状態がなんだか信じられないくらいだ。
  
朝9時から部屋にこもり、昼食を食べるために1時間部屋から出てきて、また19時まで部屋にこもるという生活を、夫は送っている。
通勤時間がなく、その時間が丸々空いたと喜んでいる顔を見ると私も嬉しくなった。
 
うちにはまだ小さい子供もいて、出勤していたときはほとんど子供の面倒を見てくれなかった夫だが、テレワークが始まると結構、子供の面倒を見てくれるようになった。
 
ミーティングがあると言ってるときはダメだが、それ以外の時間は子供が部屋に入っても怒ったりはしない。
なんだか、性格も結婚前の穏やかなときに戻ったみたいだ。
 
子供をお風呂に入れたり、料理や後片付けを手伝ってくれたりするようになった夫。
 
なんだか、新婚当初を思い出す。
 
世間ではテレワークになったら、夫婦の関係が悪くなるなんて話を良く聞くが、うちはむしろその逆だ。
 
夫がテレワークになって、本当によかったと思う。
 
終わり。

■解説

語り部は、ほぼ毎日、定時の時間だけ働いているように言っている。
以前は朝早くから出て行って終電に帰っていたのにテレワークになったからと言って、残業時間がいきなり軽減されるのは少々おかしい。
また、総務はテレワークが難しい職種だと言われている。
つまり、語り部の夫はテレワークなのではなく、無職の状態で家にいる可能性が高い。
子供の面倒や家事手伝いをしているのは、後ろめたさからなのかもしれない。

 

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:マタギ〉  〈次の話へ:マタギ〉