夜行バス

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本編

俺は仕事柄、出張が多くて夜行バスを利用することが多い。
夜に乗って、朝に到着するという長距離を進むバスだ。
 
最初は8時間っていう長い時間をずっと座っているということが苦痛だった。
だけど、それも次第に慣れた。
今では座った状態でも熟睡できるし、タブレットを持ち込んで動画を見ながら酒盛りをするのが楽しみなほどだ。
 
今回も酒盛りの準備と、6時間くらいの動画を編集で作ってタブレットの中に入れてバスに乗り込む。
深夜12時にバスが出発したのを見計らって、さっそくビールの缶を開ける。
つまみのチー鱈を食べながら、酒盛りの開始だ。
 
タブレットの電源を入れて、動画をスタート。
この日のために、ベストの動画を集めて編集していたのだ。
 
酒盛りを始めて1時間。
突然、物凄く眠くなってきた。
 
昨日は動画の編集をしていて遅くなったのと、最近、仕事が忙しくて疲れていたのかもしれない。
ここは我慢しないで寝よう。
当初の計画から外れて、こういうことをするのも夜行バスを楽しむ秘訣だ。
 
お酒も入っていたから、目を瞑るとすぐに眠りに落ちた。
 
 
どのくらい寝ただろうか。
目を覚ますと、流していた動画が終わっていた。
 
カーテンを開けると、空は明るくなっている。
時計を見ると、時間は4時。
 
到着するまで、まだ時間がある。
 
さっそく俺はビールとつまみを開け、酒盛りを再開したのだった。
 
終わり。

■解説

語り部は夜の12時にバスに乗った。
8時間のバスなので、到着は朝の8時である。
ただ、今回、語り部は6時間の動画を用意している。
目が覚めた時に、その動画が終わっているということは、6時間が経過しているはずである。
なのに、時刻は4時と言っている。
4時だとまだ動画終わっていないはずなので、時刻は16時だと考えられる。
しかし、そうなると、バスはとっくに到着しているはずである。
このバスに何か異変があり、16時間走っている可能性がある。
語り部が乗っているバスは一体、どこに向かっているのだろうか。

 

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