本編
僕とカイルは双子だ。
一卵性双生児ってやつで、顔も性格もそっくり。
勉強も運動も、食べ物の好き嫌いも全部一緒だ。
まさしく僕とカイルは一心同体。
カイルは僕が考えていることがわかるし、僕もカイルの考えていることがわかる。
昔はよく、それを利用して、色々と悪戯したものだ。
そんな僕らもやがて大人になっていく。
だけど、どれだけ時間が経っても、どんなことがあったとしても僕らは双子で、関係は変わらない。
カイルは僕が考えていることがわかるし、僕もカイルの考えていることがわかる。
そして、僕らが唯一恐れていたことが現実になった。
そう。
お互い、同じ女性を愛してしまったのだ。
たとえカイルであろうと、絶対に譲れない。
そして、それはカイルも同じように思っている。
だけど、僕らの関係を崩したくない。
それも本音だ。
だから僕はカイルにある提案をした。
するとカイルも全く同じことを考えていたようだ。
二人の意思は同じ。
それはずっと変わらない。
だから、その提案を受けることにお互い、迷いはなかった。
僕はその女性と結婚した。
そして、僕たちはこれからも一心同体だ。
終わり。
■解説
お互い殺し合いをして、生き残った方がその女性と結婚するという提案をした。
そして、語り部が生き残った。
語り部とカイルは本当の意味で一心同体なった。