■本編
女性は恋をしていた。
生きてきた中で、一番だとはっきりと言えるほど、女性はその男に心底惚れていた。
しかし、何度アタックしても、振り向いてくれないどころか煙たがられてしまう。
それでも女性は諦めきれず、男性を付け回し、ストーカーだと言われてしまう始末。
そんな女性を見た友人が、不憫に思い、ある恋のおまじないを教えることにした。
そのおまじないは、黒魔術に近いもので、効果は絶大だが、おまじないを始めると途中で止めることはできず、失敗すれば永遠に想いを寄せる男性とは結ばれない、危険なものだと友人は忠告した。
だが女性は躊躇することなく、方法を教えて欲しいと友人に告げた。
女性はどんな内容であろうと、絶対に成功させる自信があった。
逆にどんなことを求められても、必ずやり遂げると心に誓った。
女性は友人にその方法を聞く。
初めに想い人の写真を手に入れ、その写真に自分の想いを3日間寝ずに込め続ける。
次に塩で身を清める。
そして、その塩をお酒で洗い流す。
教わった呪文を唱える。
丑の刻にご神木がある神社へ行く。
ご神木に最初に思いを込めた写真を、釘を使って張り付ける。
女性はここまで何の苦も無くやり遂げた。
そして、最後の条件を見る。
おまじないが終わるまで、相手に自分が好きだということをバレてはいけない。
終わり。
■解説
女性は想いを寄せる男性に対して、ストーカー行為をして見つかっている。
つまり、この最後の条件が当てはまらないため、このおまじないは失敗である。
また、女性の友人はストーカー行為のことを知った上でおまじないを教えているので、失敗することはあらかじめ知っていたことになる。