■本編
内戦が続く国に、ある二人の兵士の男がいた。
一人はとても運が良く、最前線の戦場に行っても傷一つ追うことなく戻ってきた。
もう一人はとても運が悪く、僻地の戦場に行っても、必ず傷を負って帰ってきた。
運の良い男は銃弾が飛び交う戦場を走っても、その弾が当たることなく戦果を挙げ続けた。
もう一人は占拠した街のパトロールをしていても、味方の誤射で怪我をする始末。
この二人の噂は瞬く間に軍内部に広がり、一緒に戦わせたらどうなるのか、どっちの運が勝つのかという、冗談のような話が持ち上がった。
しかし、その冗談は現実のものになる。
運の良い男の隊の補充兵として、運の悪い男が入ってきたのだ。
戦争という生と死が隣り合わせの異常な状態の中では、この話は娯楽として軍の中に知れ渡った。
中には賭けをする兵士すら現れたほどだ。
だが、しばらくの間は何事もなく日々が過ぎ去っていった。
そんなある日。
敵が大規模な攻撃を仕掛けてきた。
戦闘機による奇襲で二人の男がいる基地にミサイルの雨が降り注いだ。
その攻撃により、運の良い男は死亡し、運の悪い男は生き残った。
終わり。
■解説
ミサイルの雨が降り注いだ基地はほぼ壊滅状態になった。
運の悪い男は生き残ったが、死んだ方がマシと思えるほどの傷を負った。