無人のナースコール

意味が分かると怖い話

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本編

看護師になって3年経つけど、全然慣れない。
さすがに通常業務に関しては落ち着いてできるけど、忙しくなると途端にパニクってしまう。

1分1秒を争うときに、頭が真っ白になるなんてことは少なくない。
先生や先輩に指示を出されればちゃんとやれるけど、自分で考えて動くというのがどうしてもできない。

だから、私はかなりの頻度で夜勤に割り当てられる。
夜勤なら修羅場になることもほとんどないし、眠いということ以外は楽なものだ。
先輩がいるから一人じゃないしね。

これならもうずっと夜勤でいいかも。

なんて思っていたら、いきなりナースコールが4つ同時に鳴った。
今日の夕方に火災事故の患者が多く運ばれてきていた。
だから、容体が急変する人が出てもおかくない。

でも、まさか4人から同時にコールされるなんて。
しかも、今は深夜だから私と先輩の2人しかいない。
2人でなんとか対応するしかないのだ。

そう思った瞬間、一気に頭が真っ白になる。
どうしていいかわからなくなる。

どこの病室に向かえばいいんだろうか。

ただ、固まってばかりもいられない。
とにかく、どこかに向かわないと。

そこで私はとりあえず203号室へと向かおうとする。

「203号室はいかなくていい!」

先輩がそう叫んだ。
どうしてかと思ったが、今は理由を聞くよりも、他の部屋に行くことが先決だ。

私は306号室に向かった。

その日はかなり慌ただしかったが、なんとか先輩と2人で乗り切ることができた。

「今日は上手く動けてたよ。この調子で頑張って」

先輩にそう言われて、私は自分に少しだけ自信を持てた。

そして、シフト交代の時間になり、同僚に気になっていたことを聞いた。

「203号室の人は、運ばれてから2時間後に亡くなってるんだよ」

私はそれを聞いて納得した。
だから先輩は203号室に行かなくていいと言ったんだ。

今日はそこそこ動けたとは思うが、まだまだだと実感する。
こういうときに素早く判断を下せる先輩のようになりたいな。

終わり。

■解説

203号室の人は運ばれて2時間後に亡くなっている。
では、深夜にナースコールを押したのは一体、誰だったのだろうか。