本編
今年ももう半分が過ぎようとしている。
年々、1年が短くなっていく気がする。
気付けば、この会社に勤めて15年。
年齢はまだ40代なのに、人生の楽しみがなく、将来の希望も何もない。
それもそのはずで、本当に毎日が同じことの繰り返しだ。
朝起きて、支度をして朝飯を食べずに電車に駆け込む。
会社に行って仕事をして、昼過ぎに社員食堂で昼飯を食べて、また午後の仕事をする。
そして電車に乗って、最寄りのコンビニで夕食を買って、家で食べる。
ダラダラと動画を見て、シャワーを浴びて寝る。
これの繰り返し。
こんな生活をしていれば、1年が早く過ぎるのも当然だろう。
今日も、社食でかつ丼とソバのセットを食べる。
うちの社食は結構、種類があるのだが、選ぶのが面倒になり、結局はいつものセットを頼んでしまう。
昼飯を食べ終わり、眠気に襲われながらも仕事を続けていると、スマホに電話がかかってきた。
見たことのない番号だったので、最初は無視したが、留守電に『忘れ物センターからで、社員証の落とし物があった』と入っていた。
なので、仕事の帰りに最寄り駅の忘れ物センターへと寄る。
すると、留守電に入っていた通り、俺の社員証が届いていた。
俺は身分証明書を出して、サインを書き、社員証を受け取る。
そして、いつも通り、帰りにコンビニに寄ってご飯を買って家に帰った。
動画を見ながら食べて、シャワーを浴びて寝る。
次の日も、支度をして朝ご飯を食べずに電車に飛び乗り、会社へと向かう。
午前中の仕事をこなして、社食へと向かう。
社食の入り口で、社員証をかざして中へと入る。
そういえば、もし、社員証が忘れ物センターに届いてなかったら、社食に入れなかったことになる。
そうなったら、いつものセットが食べられないところだった。
拾ってくれた人に感謝だ。
でも、たまには社食以外で昼飯を食べるというのも、よかったのかもしれない。
明日は社食じゃなく、どこか外のお店で食べてみようかな。
終わり。
■解説
社員証が忘れ物センターに届いていると連絡があった、その日は語り部は社員食堂でいつものセットを食べている。
ということは、語り部は昼には社員証を持っていたことになる。
そうなると、いつ、語り部は社員証を落としたのだろうか?
それに忘れ物センターからわざわざ個人に電話がかかってくるのはおかしい。
語り部が受け取った社員証は本物だったのだろうか?
それとも、それは偽物で、語り部は何かに狙われているのかもしれない。
