【洒落怖】山中で待つ死体

洒落にならない怖い話

<洒落にならない怖い話一覧>

〈前の話へ:サルの笑顔〉     〈次の話へ:穴場の海にいたもの〉

怖い話と言っても、よくある話だから、「なんだ。つまらない」って思うかもしれない。
でも、実際、体験すると本当に洒落にならない。

俺にとっては一生忘れられないと思う。
だから、つまらないと思っても、黙って最後まで聞いてくれると嬉しい。

あれはちょうど1年くらい前の話だ。

俺はタクシーの運転手をしているんだけど、そのときの話。

タクシーの運転手の中では、いわゆる、夜に行ってはいけない場所っていうのがある。
いわゆる、幽霊が出るって噂の場所だ。

もちろん、俺もそこには近寄らないようにしている。
そんな場所には人もいないし、行くメリットがない。
だけど、客がそこを指定してきたら、行くしかなくなる。
乗車拒否ができると言っても、なかなかできるものじゃない。

深夜の1時になろうとしてたから、俺はそろそろ帰ろうと思っていたところだった。
不意に、道路の端で手を挙げている若い女性が目についた。
あんまり車通りもないところで、女性一人で危ないなと思いながらも、停車した。

乗り込んだ女性は、てっきり家までと言うのかと思ったら、行先はなんと山の中だ。

タクシーの運転手の中で、夜に行ってはいけない場所の一つの。

うわーって思った。
おそらく、その女は幽霊で、目的地の近くになったら消えてるっていうパターンだと思った。
もしくは、目的地に行ったら、その女の死体があるみたいな話も聞いたことがある。

もう乗せてしまったし、今更降りてくれとも言えない。
相手が幽霊かもしれないなら、猶更だ。
呪われるかもしれないし。

だから俺は消えるなら、早く消えてくれよと思いながら、言われた通り、山へと向かった。
道中、何度も後ろを見たけど、一向に消える気配はない。

そして、ついに目的地に着いた。
もちろん、何もない山中だ。

これは死体があるパターンかと思って、ドキドキしながら辺りを見渡したけど、それらしいものはなかった。

女性は「ありがとうございます」と言って、タクシーを降りて行った。
もちろん、お金を払って。

こんなところに、女性一人で降りてどうするんだと思ったけど、深入りするのはやめた。
早くここから立ち去りたいって思ってたし。

そして、その日は無事に帰ることができた。

で、次の日。
また、そろそろ帰ろうと思った頃に、女性が手を挙げているのを見つけた。
昨日と同じ女性だった。

一瞬、無視して通り過ぎようかと思ったけど、気づいたら車を止めていた。
女性が乗り込んできて、昨日と同じ場所を指定してきた。

いわれた通り、その場所へと向かい、到着すると、女性はお金を払って降りていく。

そんなことが続いた。
その頃になると、慣れてきたし、怖いと思うこともなくなった。
それに結構な売り上げになるし。

逆に夜になったら、その女性を探すようになっていた。

毎日のように山へと送っていく。

だけど、1ヶ月くらいした頃だった。
ピタリとその女性を見かけることがなくなった。
もう1週間くらい見てない。

どうしたんだろと思ってたときだった。

ふいにあるニュースが目に入った。

山中で女性の死体が見つかったというものだ。

そう。
いつもタクシーに乗せていた、あの女性だ。

そのとき、見なくなったのは亡くなったからだと納得した。
だけどね。
おかしいんだ。

見つかった死体は、死後1ヶ月以上経ってたそうだ。