本編
その夫人ははとバスにハマっている。
子育ても終わり、夫が事業で成功していて、お金は潤沢にあるため毎日のようにはとバスに乗って観光に出かけていた。
そんなある日。
VIPのみの豪華なはとバスの旅という広告を目にする。
豪華なバスに、様々な観光地を回り、高級なお店で食事をするという内容だ。
距離としても東京駅から江の島までなので夫人にとってはちょうどよかった。
あまり聞いたことのない観光会社だったが、夫人はすぐに電話で予約を入れた。
そして当日。
予定の場所に行くと、夫人以外にも多くの客がバスを待っていた。
VIPのみの豪華な旅ということで、客は全員、金持ちだと一見して分かる。
集まった他の客と他愛のない話をしていると、バスがやってきた。
全員が乗り込み、バスは出発する。
添乗員の心地よい声で、観光案内がされ、バスは進んでいく。
そして、3時間ほど走ったところでバスは到着する。
バスから降りるように言われて降りると、そこはちょっとした森の中だった。
それから添乗員に、古びた建物に入るように指示されたのだった。
終わり。
■解説
東京から江の島まで車で3時間はかからない。
そして、到着したところが森というのもおかしい。
もしかすると、このはとバスは金持ちを集団誘拐するために企画されたものかもしれない。