■本編
最近、残業続きで帰るのが遅い。
いつも終電ギリギリなのは当たり前で、深夜の3時にタクシーで帰ることもある。
家に着くときはもうヘトヘトで、晩御飯も食べないで寝ることも多い。
こんなときに家族でもいれば、少しは楽かと思うが、いたらいたで家族サービスをしないといけないと考えると、やっぱり独り身の方が楽かとも思う。
今日もヘトヘトになって帰ってきた。
意識が朦朧としながら、散らかった部屋に入る。
本当はそのまま寝たかったが、さすがに3日間、ほとんど何も食べないのはヤバイ。
せめて、昨日、帰りに買ったカップラーメンでも食べようと思って戸棚を開く。
だが、そこは空っぽだった。
あれ? なんで?
わざわざコンビニ買いに行くのも面倒なので、今日はもう寝てしまおう。
次の日。
目覚ましのアラームが鳴る。
また忙しい一日の始まりだ。
顔を洗って歯を磨き、スーツを着て出社の準備をする。
家を出て、玄関のカギを閉めようとするが、カギが見当たらない。
ああ、そうだ。
会社の机の上に忘れてきたんだった。
どうしようかな。
終わり。
■解説
会社に家の鍵を忘れているのに、語り部はその日の夜は部屋に入れている。
つまり、1日、家に鍵を閉めていない状態だったということになる。
そして、減っているカップラーメン。
語り部の勘違いの可能性もあるが、もしかすると、誰かが侵入して食べたのかもしれない。