昔さ、呪いのビデオっていうのが流行ったじゃない?
俺の友達が実家の倉庫を掃除していたら、出てきたらしい。
呪いのビデオが。
その友達は特にオカルトが好きじゃないのに、なんでそんなビデオが家にあるのかって聞いてみた。
そしたら「知り合いの兄貴が、このビデオを見た後に自殺したみたいで、処分するのも怖いからもらってくれないか」って言われたらしい。
友達は呪いを信じてなかったから受け取って、そのまま倉庫に置いておいたのだという。
呪いを信じてないにしても、そんないわくつきのものを引き取るなんてすごいなって思っていたら、その友達はこう言いだした。
「処分しようと思ってるんだけど、その前に見る?」
俺はそこまでオカルトが好きというわけじゃないし、友達のように全く興味がないわけでもない。
正直、興味があるから、「見てみたい」と言った。
そしたら次の日にビデオを持ってきてくれた。
そのビデオはむき出しだったが、一枚の紙が貼られていた。
『一人で見ないで』
そう赤い字で書いてあった。
なんだこれって聞いたら、友達はこの状態で貰ったと返してきた。
どうやら、友達の知り合いの兄貴は、このビデオを一人で見たらしい。
それを見て、俺は一気に怖くなった。
正直、見てみたいなんて言うんじゃなかったと思った。
でも、借りた手前、見ないというのも悪いから、ビデオを借りた。
俺の部屋にはビデオデッキがないというのも、もちろんあるけど、さすがに一人で見る勇気はない。
だから、実家にいる弟と一緒に見ようと思って、メールをしてみる。
弟は結構オカルトが好きらしく、「見たい」と返ってきた。
「その日は出かける予定だけど、すぐに帰るから、見ないで待っててくれ」と書いてあった。
もちろん、一人で見るつもりはないから、「わかった。待ってる」と返信しておいた。
週末。
予定より少し実家に着くのが遅れてしまった。
家に入ると、既に弟が帰ってきていた。
さっそく、俺は持ってきたビデオをデッキに入れて再生してみる。
弟と二人でジッと画面を見つめる。
3分くらいはずっと真っ暗な画面が続く。
結局、呪いのビデオなんて、こんなものかとガッカリしたときだった。
いきなり男の顔が浮かび上がってきて、「忠告したのに」と言った。
それと同時に、勝手に停止され、デッキからビデオが出てきた。
直感的に、これは本物だと思った。
でも、俺は忠告通り、一人では見ていない。
弟と一緒に見た。
それなのに「忠告したのに」というのはどういうことだろうか。
そんなとき、勢いよくドアが開く音がした。
そして、部屋に弟が入って来て「ただいま」と言った。
