本編
友達が、免許を取ったからドライブに行こうと誘ってきた。
せっかく取ったんだんから、さっそく車に乗りたいという気持ちはわかる。
だから、俺はその誘いに乗ることにした。
せっかくだから遠出しようってことになって、レンタカーを借りて、1泊2日のちょっとした小旅行の計画を立てた。
今考えれば、それが間違いだった。
免許を取ったばかりということは、まだ車の運転に慣れてないということだ。
しかもレンタカーなんて、乗り慣れてない車を運転するなんて、さらに友達に負担がかかる。
本当なら1時間くらいのドライブにするべきだった。
当日は雨が降っていて、友達は運転しづらそうにしてた。
けど、俺は免許を持ってないし、既に宿は予約してるし、友達に運転してもらうしかなかった。
3時間ほど運転した時だっただろうか。
急に横から車が突っ込んできて、友達は急ブレーキをかけた。
だけど、雨のせいで滑って、止まれず、俺たちの車と突っ込んできた車が追突する。
物凄い衝撃だった。
それで、気が付いたら俺は病院のベッドの上にいた。
全身を強く打っていたみたいで、少しでも動くと激痛が走る。
痛みで叫び声を挙げたが、全く声が出ていなかった。
相当な重傷だったのだろうと、否応なくわかる。
それぐらいの事故だったんだろう。
友達はどうなったんだろう?
そう思って、必死に視線を動かすと、部屋の隅に友達がもぞもぞと動いているのを見つける。
よかった。
友達も無事だったみたいだ。
そう思って安心した時だった。
不意に胸に激しい痛みが走った。
看護師さんを呼ぶためのナースコールが近くにあるが、腕が動かない。
だから、必死に看護師さんを呼び続けた。
するとすぐに看護師さんが部屋に駆け込んでくる。
「どうしました?」
俺が答えようとするよりも前に、看護師さんが察してくれたのか、すぐに先生を呼んでくれて処置してくれた。
先生の話では、あと10分処置が遅れれば危なかったらしい。
まさに九死に一生を得たようだ。
そして、その次の日。
俺は友達が死んだことを知らされた。
終わり。
■解説
語り部は声も出ない状態だった。
なので、語り部の呼び声で看護師がやってきたとは思えない。
では、なぜ、看護師が部屋にやってきたのか。
それは部屋の隅で動いていた友達がナースコールを押していた可能性が高い。
そして、次の日に友達が死んでいる。
つまり、友達がナースコールを押し、看護師が語り部が押したのだと勘違いしたため、語り部が処置され、友達の処置が遅れて亡くなってしまった。

