エレベーターの定員

意味が分かると怖い話

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:同窓会〉     〈次の話へ:留守番電話〉

本編

私が住んでいるマンションは住人が多い割にエレベータが1台しかない。
だから、結構、エレベータ待ちをすることが多い。

今日も会社から帰ってきたら、ロビーには既に5人並んでいた。
乗れるかギリギリの人数だ。
もし乗れなかったら10分以上待つことになる。

やだなぁと思いながらエレベータが来るのを待つ。

エレベータが1階に着くと、中に乗っていた4人が降りて行った。

全員が降りて、待っていた人たちが乗り込んでいく。

私はゆっくりと最後に乗り込む。
ブザーが鳴らないかドキドキしたが、鳴らずに済んだ。

よかったと思い、ドアを閉じるボタンを押そうとしたら、女の人が走ってきた。

私は咄嗟に開くボタンを押すと、女の人がエレベータに乗り込んでくる。
だけど、やっぱり、ブザーが鳴ってしまった。

重量オーバーだ。

女の人は恥ずかしそうな顔をしながらエレベータを降りる。

私はすぐに閉じるボタンを押してドアを閉めた。

可哀そう。
あれだと体重が重いって印象を受けてしまう。
私だったら、顔から火が出るくらい恥ずかしかったと思う。

エレベータが上っていき、4階で若い女の人と若い男の人が、5階で中年のおじさんとおばあさんが降りて行った。

エレベータはまた上へと上がっていく。

そして、8階でエレベータが止まる。
最後に残った私が降りると、エレベータは下へと降りて行った。

私は、その日のうちに引っ越しを決めた。

終わり。

■解説

ロビーで待っていたのは語り部も含めて6人(既に5人待っていた)であり、その全員が乗り込んでいる。
そして、4階で2人、5階で2人、8階で語り部が降りた。
つまり、1人残っているはずである。
それなのに、8階に着いたときにはその1人がいなくなっている。