アパートの騒音

意味が分かると怖い話

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本編

駅近でコンビニとスーパーが100メートル以内で、しかも格安。
そんなアパートに俺以外入ってないなんて、みんな見る目がない。

確かに築25年で古いけど、別にボロ家ってわけじゃないし。
まあ、どっかから隙間風が入ってくるせいで、夏は暑いし冬は寒い。
それとお湯が出るのが遅いのと、風呂桶が壊れているせいでシャワーしか浴びれない以外は割と快適だ。

とにかく学生の俺にとっては、家賃が安いのが一番助かる。
家賃が安い分、他にお金を使えるし。

それにしても一人暮らしは本当に快適だ。

無理してでも実家から遠い大学を受けた甲斐があった。
夜更かしも朝寝坊もし放題だ。

ただ、そのせいで自堕落な生活になってきてるのが危ないな。
寝坊して、何回か講義もサボっちゃってるし。

これで留年なんてことになったら、親に何て言われるかわかったもんじゃない。

だから休んだ分はテストでいい点を取って取り返すしかない。
なので最近は夜遅くまで勉強している。

それで気付いたんだけど、どうやら隣の部屋のやつが子供を虐待してるみたいだ。

深夜2時を過ぎると、子供の声で「痛い」とか「助けて」とか聞こえてくるし、バタバタと物音もする。
前まではゲームとかしてたから聞こえなかったんだけど、静かにしてると結構気になるくらいの音量だ。

テストが近いのに、これじゃ集中できない。

音楽とかかければいいのかもしれないけど、俺は静かな状態じゃないと勉強に集中できないんだよね。
かといって、注意しに行くなんて怖くてできない。

虐待してる親なんてろくでもない人間だろうし、注意なんてしたら何をされるかわかったもんじゃない。

だから、大家さんに苦情を入れた。
隣がうるさいって。
でも、全然取り合ってくれなかった。

凄く腹が立ったけど、管理費500円だし、しょうがないか。

それならと、今度は警察に連絡した。
隣の家で子供が虐待されてるって。

そしたらなぜか俺が怒られた。

なんでだよ。

そう思ってたら、あることに気付いて、すぐに引っ越すことにした。

で、大家さんに鍵を返す時に「やっぱりね」と言われた。

そりゃそうだろ。誰だって引っ越すって。

終わり。

■解説

語り部が住んでいるアパートは「語り部しか入っていない」はずである。
つまり、語り部の隣の部屋には誰も入居していないということになる。
では、隣から聞こえる子供の声は一体、なんなんだろうか?